【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ34)

今日:24 hit、昨日:20 hit、合計:76,401 hit

80話ページ34

～Aside～

セバスチャンがシエルに促されて話し出した。

「来週クリスタルパレスで行われる『帝国におけるインド文化とその繁栄展』は植民地(インド)における英国の功績や産業についての展示をメインとした展覧会です。
催し物の一環としてカリーの品評会が行われる予定です。坊ちゃんとお嬢様にはその品評会の特別審査員としての招待状が来ておりました。品評会は数社のカリーを競い合わせる趣向の様で、噂によればカリー好きと名高い女王もご見学にいらっしゃるとか。
他にも個人主催のパーティー等をお調べしますか？」

「インド…カリー…もう(・・)十分だ」

シエルはげんなりとした顔で言った。

「気づいたようだね、伯爵」

「ああ“3年” “品評会”そしてブランド好きのウエストの考えそうなこととくれば答えは一つだろう。
まさか本当にこんな下らない事件だったとはな。呆れてものも言えん…」

「あはは、本当に無駄足だったわけか」

「？？？」

話が進む二人に置いて行かれたソーマがツッコミを入れた。

「ちょっと待て！訳がわからん、一から説明しろ‼」

これには劉が答えた…が。

「まぁ落ち着きなよ王子様。今、順序立てて絶望するからさ。伯爵が！」

「お前また知ったかぶってたよな？」

再び劉の知ったかぶり攻撃を浴びたシエルは咳払いをして話し始めた。

「ウエストが経営するヒンドスターニー・コーヒーハウスのメインといえばカリーだ。
つまりウエストは“カリー”で“ロイヤルワラント”を獲ろうとしてるんだ」

「ああ、成程！」

ようやく納得したらしい劉は置いておいて、ソーマはまだわからないらしい。

仕方がないから、私が教えてあげよう。

「ソーマは知らないと思うけど、英国には面白い制度があって、王族が気に入ったお店に『お墨付き』の称号を与えることが出来るのよ。
それが“英国王室御用達(ロイヤルワラント)”。
そして、それが貰えたお店は看板にその称号を掲げることができるってワケ」

「？」

「つまり、英国王室御用達(ロイヤルワラント)は品質保証と同義語なの。
店(ブランド)が英国王室御用達(ロイヤルワラント)の称号を得ることによって売り上げは確実に伸びる。ファントム社もそろそろ製菓と玩具で申請しようと思ってたところよ」