【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ33)

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79話ページ33

～Aside～

なーんかいい雰囲気だったけど、シエルも同意見だったから私は気にしない。

呆然と立ち尽くすソーマにシエルはさらっと言った。

「お前のような世間知らずのお守りはごめんだ。…まぁ談話室のドアには最初から鍵は付いてないがな」

シエルの一言でソーマは再び呆然と立ち尽くした。

まぁ、さっきとは違い、天使のようなものが周りに見える…ような気がする。

「シエル！ A！」

ソーマが後ろから抱きついてきた。

後悔の愚痴を言うシエルにソーマは私の方を見て付け加えた。

「そうだ。
A、さっきは八つ当たりしてカップを割ってすまなかった。許してくれ。それから…」

私の後ろに隠れたソーマはセバスチャンに向けて弱々しく言った。

「お…お前も…すまなかった…」

「いえ…」

♦

「＿＿さて。王子様に中断されちゃった話の続きをしようじゃないか」

劉の一言で、先ほどの続きが開始された。

「まず、例の事件はウエストがアグニにやらせていると見て間違いないだろう。あいつの身体能力からして一人で事件を起こすのはなんてことない」

「ウエストの話に出てきたのは、
“3年がかりの計画”
“計画の完成は1週間後”
“アグニの右手が不可欠”
ということね」

セバスチャンが紅茶を出してくれた。それに反応して縮こまったソーマが可愛い。

「ここで重要なファクターは『1週間後』という日程だが」

「彼の“神の右手”を使うなら何か大きなイベントでも襲っちゃうとか？まぁ冬だし、大きな催し物なんかは終わってるよね」

「セバスチャン、ロンドン市内で1週間後にある催し物は？」

本来セバスチャンに向けられた問いを私は答えた。

「私宛のも含めて1週間後は、
ウエストミンスター寺院で聖ソフィア学院主催の聖歌隊コンサート、
コヴェント・ガーデン歌劇場でワーグナーの上演、
クリスタルパレスで英国におけるインド文化とその繁栄展、
大英博物館で世界の通過博覧会、
…かしら？」

「…インド？」

シエルが反応する。

「坊ちゃん、ご自分に送られたお手紙はどんな内容でも(・・・・・・・)きちんとお読みになるのが紳士というものですよ」

「うるさい、いいから早く詳細を話せ」

どうやらシエルは自分宛の手紙も読んでなかったらしい。