【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ26)

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72話ページ26

～Aside～

「お、王子」

「お前どういうことだ。ミーナがどこにいるか知ってたのか⁉」

ソーマが突然入ってきたことに、アグニはとても驚いていた。

「ああ…それがお前のご主人様か、アグニ」

ウエストが少し震えた声で言った。

その言葉でソーマの怒りはウエストに向いた。

「お前がミーナを連れて行った奴だな。アグニ！こいつを倒せ‼」

しかし、アグニは苦悶の表情をしたまま動かない。

「アグニ、何してる！」

それを見たウエストは鼻で笑い、逆に命令した。

「アグニ。そのうるさい王子様をつまみ出せ」

「なっ…」

「俺の言うことが聞けないのか？」

なおも苦悶の表情を浮かべるアグニ。

「…何か揉め始めてしまいましたね」

中の様子とは裏腹に、部屋の外のメンツはからりのんびりとしていた。

「さっきの話の内容からすると、逆さ吊り事件にウエストが絡んでるのは間違いないけど…どうも〝裏社会の事件〟じゃなさそうね」

私が言うと、劉な言った。

「ということは今回は伯爵やA嬢の管轄外だね」

「…だな」

答えたシエルに劉は小声で付け足す。

「でも市警(ヤード)に知らせるのも面倒だし、ここでボコって帰っちゃわない？」

「それもいいが、僕に少し考えがある。もう少しウエストを泳がせよう。
今回はあの王子(バカ)を連れて引き上げるぞ」

でもさ、と続ける劉。

「君達は面が割れてるんだよね？」

「ええ」

困った顔で頷くAにセバスチャンが笑顔で言った。

「おまかせ下さい。私に良い案がごさいます」

「アグニ、どういうことだ！説明しろッ！」

ソーマが詰め寄ると、アグニは恐る恐るという感じて口を開いた。

「お…お話しすることは何もありません。どうぞお引き取りください」

「な…何を言っ…」

「いい子だ」

アグニを見て言ったウエストの胸ぐらをソーマへ掴んだ。

「…ッ貴様‼ 何をした⁉」

「おやめください！」

それを見たアグニがソーマを羽交い締めにする。

「離せアグニ！何故こんな奴の言うことを聞く⁉」

泥沼状態となった中でウエストはスーツを直した。

「ったく！ギヴズ&ホークスのスーツがシワになっただろうが！」

「アグニ！離せッ」

「言ってもわからん奴には少し痛い目をみせないといけないな」

そしてウエストは私も怒る、最悪のことを言った。

「アグニ、その王子様を殴って黙らせろ」