【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ25)

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71話ページ25

～シエルside～

セバスチャンが返事をした次の瞬間。

僕の体は宙き、塀を越えていた。

「ばっ…」

どうやら、セバスチャンは僕を抱えて飛んだようだ。後からAがセバスチャンと同じように、飛び越えてきた。

「‼」

ガサッと音がした方を見ると、数匹の番犬がいる。

「シエル！」

ソーマが叫んだ。

しかし。

ザワッ

「きゅーんきゅーん」

「なんだ？犬が退いていく…？」

いきなり番犬達が後ずさりをし始めたのだ。まるで、何かに怯えるように。

「ウエスト様は臆病な番犬を飼っておいでですね」

セバスチャンの一言で僕は思った。

原因はこいつか。

「おーい伯爵ー、A嬢ー。こっちこっち」

劉が玄関先で男2人を倒していた。

それと、鋭い針で。

「……」

沈黙するAに劉は笑顔で言った。

「嫌だなー、殺してないって。眠らせただけだよ。中国四千年の歴史ってヤツ？」

正直安心は出来ないが、まぁいい。

さっさとあいつを探さなくては。

僕らは男を乗り越え、屋敷に入った。

屋敷の中に人影はなく、二階から声がした。

「二階から声がするわね。行ってみましょ」

♦

「本当によくやってくれた。そんな思いつめた顔をするな。シガーでも吸ってリラックスしたらどうだ？英国王室御用達(ロイヤルワラント)のジェイムズ・フォックスで買った上等のハバナ・シガーだぞ」

「……」

中にはウエストとアグニが話をしていた。

「まぁいいさ。ここまでの計画は完璧だ。あとは一週間後、全てが決まる。そしてこの〝神の右手〟があれば俺の計画は完遂される！
3年も待ったんだ。絶対に成功させてみせるぞ。俺がこの計画をやりとげたらミーナは…」

ここまではよかったのに。

最後の一言で、努力は水の泡にされた。

なぜなら。

“ミーナ”という単語を聞いたソーマが部屋に入り込んでしまったからだ。

「ミーナだと⁉」

「「！！？」」

「馬っ…！」

突然の乱入者に驚くウエストとアグニ。

思わず声をあげようとしたAをセバスチャンが止める。

「お嬢様、坊ちゃんと私は顔が割れています。様子を見ましょう」

残念そうな顔をしたAを慰め、僕は中を覗いた。