【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ24)

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70話ページ24

～Aside～

「坊ちゃん、お嬢様。動きました」

午前2時45分を回った頃、セバスチャンが窓から逆さまになった状態で言った。

「よし、後を…」

「待て」

シエルが眠そうな顔で言いかけたのを、ソーマが遮った。

「俺も連れて行ってくれ。アグニがたまに、俺が寝た後に出て行くのは知っていた。あいつが何をしているのか…知りたいんだ」

結局ソーマは私達についてくることになった。

♦

「この建物に入ったね」

アグニが入った建物を見て劉が言う。

「！ここは確か…」

シエルが気付いたようにつぶやいた。

「そういうことね、裏が見えてきたわ」

「どういうことだ？」

私の言葉にソーマは意味が分からなかったようだ。

「誰の家なんだここは」

「まあまあ王子様、慌てない慌てない。
行けば解るさ。そして嫌でも真実を知ることになる。君も、我も…ね」

意味深な感じで劉が言った。

「〝我も〟ってことは、お前も何も知らないんだな？」

「うん☆ 」

そして、劉によって雰囲気はぶち壊される(まぁいつものことだが)。

「ここは輸入品を手広く扱っているハロルド・ウエスト＝ジェブの屋敷よ。表の仕事でシエルと一度会ったことがあるけど、肩書き主義でいけ好かない男ね」

私がため息をつきながら言う。

「輸入品かぁ、我とは同業者だね」

「何故アグニがそんな奴の家に？」

ソーマの問いにはシエルが答えた。

「主にインドから香辛料(スパイス)や紅茶葉を輸入していて『ハロルド・トレーディング』という雑貨店と『ハロルド・ウエスト』というヒンドスターニー・コーヒーハウスを経営している」

続けてセバスチャン。

「ウエスト様はミーナ様の件で調べていた資料にお名前がありました。資料によると、たしか輸入なベンガル地方からがメインで、例の逆さ吊り事件の被害にもあっています…が。
代表者のウエスト様はたまたま(・・・・)不在だった為、被害を免れていたそうです」

怪しい。そんなたまたまなんてこと、ほとんどない。

「しかたない…行ってみるか」

「そうね、行きましょ」

「御意」

そして次の瞬間、シエルはセバスチャンに抱えられ、空を飛んでいた。