【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ21)

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67話ページ21

～Aside～

晩餐の時間。

今日はサバのグースベリーソースがけとコテージパイらしい。

私はテーブルに座ってシエルとアグニの話を聞いていた。

「＿で結局、お前の捜している女は何者だ？」

シエルの問いにアグニは食べながら答えた。

「俺が生まれた時から俺の侍女だった女で、まぁ乳母みたいなモンだ。物心ついた頃からずっと一緒だった。
親父様は俺なんか興味ないし、母上は親父様の気を引くのに必死で俺には見向きもしない」

アグニがソーマの話を聞きながら悲しそうな顔をした。

「宮殿にいつも独りで…。でもミーナはいつも俺の傍にいてくれた。明るくて美人で姉のようになんでも教えてくれた。ミーナさえいれば俺は寂しくなかった。俺はミーナを愛して、ミーナも俺を愛してくれた。だけど…あいつが…。
英国貴族が来て、ミーナを英国へ連れ去った！」

机をドンッと叩き、怖い顔をしたソーマ。

私はソーマの話を聞いて少し違和感を感じたが、今は何も言わないでおこう。

これ以上面倒くさい事には、なりたくない。

「どういうことだい？」

同じように話を聞いていた劉が聴いた。

「ベンガル藩王国はインド皇帝であるヴィクトリア女王に内政権を認められてはいるが、実際は英国から派遣されてくる政治顧問がほとんど政治を牛耳ってる。実体はほとんど植民地と大差ない。
そして3ヶ月ほど前にその政治顧問の客としてそいつ(・・・)はやって来た！
そいつ(・・・)は俺の城でミーナを目にとめ…俺が街を視察に行ってる間にミーナを無理矢理英国に連れ去ったんだ！」

「つまり英国には女を連れ戻しに来たという訳なんだな？」

「そうだ！絶対に取り戻して一緒に帰る」

はぁ、とシエルがため息をついた。

「それにしても使用人の女ひとつで大ゲサな…」

「大ゲサじゃないッ！」

ソーマがいきなり立ち上がって凄い剣幕で怒り始めた。

そしてシエルの肩を掴んで詰め寄った。

「お前にミーナと引き離された俺の絶望がわかるのか⁉ 俺がどんなにっ…」

「わからんな」

シエルが低く、鋭い声で言った。

「その程度のことで感じることができるたかがしれた(・・・・・・)絶望など、僕には理解できないしする気もない」

そしてその怪しげな光を放つ目でソーマを睨みつけた。