【黒執事】ファントムハイヴ家のお嬢様２ (ページ16)

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62話ページ16

～Aside～

セバスチャンとアグニは睨み合う。

「では、お手柔らかに」

「参ります‼」

セバスチャンが構えると、アグニが間合いを一気に詰める。

「ハッ」

その突きをセバスチャンは少し横にズレてかわし、反撃に出た。

今度はアグニがセバスチャンの突きを下にしゃがみ込むことで回避。

その状態のまま、剣を突く。

セバスチャンは顔を動かして避け、アグニの眉間を狙う。

しかし、アグニはそれを弾くと再び間合いを詰めた。

両者の剣がお互いの眉間を狙い、お互いが仰け反るようにしてかわす。

そこから反撃の突き。

しかし、それはピッタリと突きあい、ぐにゃりと曲がり…

力が相殺して折れた。

セバスチャンが折れた剣の先を掴んで言った。

「やれやれ、剣が折れてしまった」

「これじゃあ続きはできないねぇ。試合は引き分けかなA嬢？」

「…この勝負、引き分けよ」

私は結果を言う。

「ふーん、シエルとAの執事(カーンサマー)もなかなかやるな。アグニは俺の城で一番の戦士だぞ。アグニと互角に戦えた奴は初めてだ！」

相手はセバスチャンなのに。

アグニ…悪魔(セバスチャン)とも互角にやりあえるのね。

「気に入った！シエルとAの執事(カーンサマー)よ。お前の腕に免じて今日は勘弁してやる」

ソーマが上機嫌でセバスチャンに話しかける。

「光栄に存じます」

「セバスチャン殿。お手合わせありがとうございました」

今度はアグニが話しかけた。

「こちらこそ。アグニさんは本当に飲み込みが早い。初心者でなければわかりませんでしたよ」

「いや、そんな！」

「そうだ！」とアグニがシエルの方へ来る。

「シエル様。先程は申し訳ございませんでした。まだ痛みますか？」

「い…いや…」

「よかった！」

安心したらしいアグニはあいつの元へ駆け寄っていった。

「セバスチャン、あの男一体何者だ？まさかまた…」

シエルが嫌そうな顔をしてセバスチャンに聞いた。

「いえ、あの方は人間ですよ」

「そうか…」

そしてシエルはソーマに連れて行かれる。

「おいシエル！俺達ももう一試合だ！」

私は椅子から立ち上がり、言った。

「そう…ただの人間。…ただ、私達(・・)が持ちえぬ力を持った…ね」