黎明を待つ【アルスラーン戦記】 (ページ3)

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黎明　2 ページ3

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｢笑えない冗談はお止めください｣

｢ははっ、すまない。つい本音が出てしまった｣

笑いながらとんでもない発言をした王子。
その笑顔から本心を探ることは不可能に近い。
5年前にAに買われ、それからずっとそばに侍ているレイですらわからないのだから。

我が主ながら喰えない男だと思いながら報告内容を告げる。

すると、それを聞いたAの顔が歪んだ。

｢ダリューンが万騎長をやめた？｣

｢正確には"やめさせられた"ですが…。
どうやら陛下の怒りを買ってしまったようでして｣

｢あのクソ野郎、少し苛ついたからってそこまでするかよ｣

自らの叔父でありパルスの国王を堂々と罵る。
最初こそ止めたがもう慣れてしまった。
今さら口を挟む気にもなれないが多少は人目も気にする。

｢口を慎んでくださいませ。私の他にも兵はいるのです。
…陛下は武勲しだいでは復職も可能と仰っておりました。ダリューン卿のことです。何等問題はないでしょう｣

レイの言葉に納得したのか、少しばかり表情が明るくなった。

｢そうだな。彼奴なら単騎でも十二分に強いだろう。俺たちは精々死なない方法でも考えていようではないか｣

｢最年少の万騎長が何を言っているのです。
私はともかく貴方が死ぬなんて有り得ないでしょう｣

両手を広げ、わざとらしく言う主君に痺れを切らし蹴りをかますが当然のように避けられてしまった。

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