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ご飯に行こう と、望さんが誘ってくれたのに
案の定オフが全くなくて、私が忙しいのと同じように望さんも多忙で
そんな話が出てから、もう何ヶ月も経ってしまっていた。
元々あまり連絡していなかったLINEの通知も減り、ご飯の話は自然消滅みたいな形になってしまいそうで
きっと、こんなに気にしているのは私だけだろうと寂しくなったり。
＜次、ドラマの顔合わせだから＞
そう言われて、黒のバンから下ろされる。
来慣れているスタジオに足を踏み入れ、まだ相手の方は来ていない会議室にぽつんと腰をかけた。
今回のドラマの相手は誰だったっけと、今更になって台本を取りだした。
流「こんにちは、はじめまして」
丁度バックから台本を取りだした時、後ろから低音な声が私の動きを止めた。
私の挨拶を聞いて、ふにゃりと笑った高身長な男性は、藤井流星さん というらしい。
180くらいあるであろう立ち姿に、望さんが重なった。
「藤井さん……？」
流「はい、？」
「手元、」
流「…うぇ？！ちょ、うわ」
まるで彫刻みたいな端正な顔立ちをした彼の表情があわあわと変化する。
どうしよう、と慌ただしく動き、それがもっと悪化させて。
結局、手に持っていた帽子はビショビショで。
「ふははは、何やってるんですか」
＜いつもこんなんなんですよ、すみませんね＞
流「また帽子ダメにしてもうた」
こちらに頭を下げるマネージャーさんは慣れた手つきでそれを拭いた。
流「あかん、またメンバーにいじられるやん」
＜ですね＞
流「言わんといてや？」
＜んん、どうでしょう＞
「メンバー、、？」
流「いっつもメンバーにこれ言われるんすよ」
「グループで活動なさってるんですか？」
流「ジャニーズWESTってグループ、知ってます？」
ドキッと胸が跳ねる。
ジャニーズWESTって、たしか
「小瀧さん、のグループ？」
流「あぁ、そうそう。望のいるグループです」
「同じメンバーさんだったんですね」
流「はい。そっか、Aさん共演なさってましたもんね」
顔合わせ初日、藤井さんの柔らかい物腰と、優しい声色にすっかり安心してしまい打ち解けることが出来た。
それと同時に、久々に聞いた 小瀧さん の話に変に反応してしまっているのも自覚済で。
流「あ、良かったらこの後飯でもどうですか？」
ドラマの話もしたいですし、と付け加えられれば断る理由なんてなかった。
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作者名：r | 作成日時：2022年6月23日 21時
