この沼、キケンです (ページ16)

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3:00にベッドに潜ったと思ったら、またすぐに迎えの車がチャイムを鳴らす。

時計はまだ5を指しているというのに、最近私の一日は始まるのが早くて終わるのが遅い。

もう話題もうつり変わったかと、気を抜いていたのがダメだったのか

1件目と2件目の移動時間、車に揺られながらSNSを開いた。

最近の流行や話題を確認しておこうと開いたそれには、ずらぁっと心ない言葉が並んでいて

ひゅっと思わず息が止まるような書き込みで埋め尽くされていた。

この後、番組収録なのに。

前に出るのが怖くて、仕方ない。

寝ないで頑張るなんて、誰でも出来ることで

事務所と上手くなっていけず、自己管理すら出来ていない。

誰が私なんかを見たいのだろうか、誰が私が喋っているのを見て幸せになれるだろうか。

誰が、私が生きていることを喜んでくれるのだろうか。

揺れる車内、何が何だかよく分からなくなって

なんで女優になったんだろうと、答えのない疑問が頭を埋め尽くす。

カメラの前に立つ。

色んな人に囲まれながら仕事をする。

そんなの、日常茶飯事で、それが私の仕事だというのに

撮影セットの机の下で、手の震えが止まらない。

誰が敵で、誰が味方なのか。

今まであういう記事が出たこと無かった私にとっては、これほどしんどいものはなくて。

「…っひゅ、、…は、ひゅっ、、、はっ、」

撮影が終わる合図とともに、どっと心の重荷が取れた気がして

いつもの呼吸が、分からなくなる。

どうやって息を吸って、どうやって息を吐いていたか。

頭がくるくると回って、自分は止まっているはずなのに目の前が歪んだ。

助けて、誰か。

助けて、望。

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