26. ページ26
・
なによりもクリスマスがくるのが怖くて
あと何日ある、何日ある、って思ってたら
すぐその日はきちゃう
本屋行ってみよっかな
「お母さん、塾行ってきます」
母の返事も聞かずに家を出た
"雑誌買ったで"
画像付きで大毅から送られてきた報告メール
店に行くと、そこには自分が表紙を飾っている雑誌が残り2冊くらいになってて売れてるのかな、と少し期待しちゃった
帰り、雑誌の入った袋を手に雪道を歩いていると
prrr...
'お母さん'
嫌な予感しかしなかった
母「どういうことが説明なさい」
何を、と言われなくても何を言ってるのかは分かった
「夢だったんです」
母「なんで嘘をついたの」
電話越しで聞く母の声は嫌なくらいに冷静で逆にそれが怖かった
母「早く帰ってきなさい。」
「はい」
帰ったら怒鳴られて殴られるだろう
何をするのが最善策なのか分からなかった
「ただいま」
母「おかえりなさい。」
珍しくおかえりなさい、と迎えてくれた母の隣には
私の部屋の荷物が積み上げられていた
理解するのにそう時間はいらなかった
母「でていきなさい。」
「…っ」
母「あなたにとってそれが最善策よ。
きっとお父さんが帰ってきたら怒り狂うわ
帰ってくる前に出ていきなさい。
ごめんね、こんな親で
父が怖くて何も出来なかった。
全部あなたのせいにしてた、押し付けてた。
あなたが本当にやりたかったのはこれだったのね
何も気づいてあげられなくてごめん
最後は背中を押させてよ」
母のあまりの変わりように開いた口が塞がらなかった
もっとはやく言ってればよかったのかな
お母さんに相談してればよかったのかな
抱え込まなければよかったのかな
母「正解なんてないんだから。
今まで縛り付けててごめん、これからはあなたらしく生きなさい。」
"さ、はやく"最後に見た母の顔は柔らかくて優しかった
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：理 | 作成日時：2019年5月28日 22時
