突然の襲撃 ページ9
もう夕暮れ。やはりと言うべきか、最後まで回ってもどこからも有力な情報は得られなかった。
ちなみにコナン君はどこの現場へ行っても独自に捜査していた。掴んで放り出そうとした毛利探偵を、私はさりげなく止めて彼の自由にさせた。先ほどの失言のせめてもの償い。
「はー…やっぱどこも同じ答えだったな…」
「そうですね。皆さん、よほど恐怖を感じられたのかあまり話してくれませんでしたね…」
「そうだな。ま、わざわざ恐ろしい目にあったことを思い出して話したがる人なんて少ねェもんだろ。仕方ない…」
毛利探偵が目を伏せた。この人は時々、無意識に私たちよりも気遣いを見せることがある。少年探偵団を事件現場に立ち入ることを怒ったり止めたり。コナン君が毛利探偵事務所にい続けられるのは彼のおかげでもあるだろう。
「今日はこの辺にしてまた明日、改めて策を練りましょう。心強い味方もいることですしね。Aさん、明日も来るでしょう?」
「ごめん私、明日は公休…」
「じゃあ仕方ありませんね。明日は我々2人で…」
カンッと、小石が当たったような高い音が車をはじいた。
「ん? なんだ?」
毛利探偵と共に後ろを振り向くと、1台の2人乗りのバイクが後についてきていた。
フルフェイスヘルメットの前列の人物は、当然ながら顔は見えない。しかし、問題は後ろの人物だった。
「皆さん伏せて!!」
零君の鋭い声に問う前に、私たちは本能的に悟って頭を押さえて体を折り曲げた。
間髪入れずに激しい銃声が響いた。久々に聴く刺激的な雨音に手が震える。コナン君側の手は無意識に彼の頭を抱えていた。
「クソッ…」
零君が悪態をつき、耳がねじれそうな音を立てながらFDがカーブする。それだけで胃の中をかき回されそうだ。思わず眉を寄せて口元を押さえた。
「しっかり歯をくいしばって…!」
荒い運転でどこまで走っているのかもはや分からない。
バイクの後ろの人物は黒いゴーグルかサングラスをかけ、その手にライフルを携えて私たちを狙っていた。
このバイクの2人組は誰。聞けたのは銃声がやんで私が気絶から目覚めた時だった。
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作者名:カサブランカ | 作成日時:2019年5月10日 14時