捜査開始 ページ8
毛利探偵の一服も終わり、零君もポアロのオーナーの許可が下りたので3人でダメ元の聞き込みをすることにした。
私は部署でただ1人の社員なので誰の許可もいらない。
いつも持ち歩くノートパソコンから米花町の地図をプリントアウトし、事件の起きた寺社のリストと照らし合わせて地図に印をつけた。即席捜査地図の完成だ。
零君の運転するFDに乗り、米花町中を回った。途中、小学校の低学年の下校時間になったのでコナン君と合流。彼と2人で後部座席に座った。
「Aお姉さんも外で捜査することがあるんだね」
「今日だけね」
車体が段差で揺れ、コナン君のランドセルがわずかに跳ねた。
零君の隣の助手席で毛利探偵は不服そうだった。
「ったくまたなんでガキも連れてくんだよ…おいコナン! お前は現場でうろちょろせずに車ン中で待ってろよ!」
「はーい」
元気よく返事をしたコナン君は私の方を見て『やれやれ…』とでも言いたげな目になった。さすが中身は現場で好きに見て回りたい平成のシャーロックホームズだ。
「でも、令和になったからコナン君も令和のシャーロックホームズに改m…」
「し、新一兄ちゃんに言ったら面白そうだよね! 今度提案してみるよ!」
「ぜひそうしてみて〜…」
黒の組織を知っていれば私はコナン君も哀ちゃんの正体も知っている。前の2人に見えない位置でコナン君に小突かれた。おまけにさっきと同じ目をしている。
「もう…安室さんにもバレそうなんだからマジでそういうのやめて…」
「ごめん…つい…」
後部座席でコソコソと話していたらルームミラー越しに零君の視線を感じたが、気づいてない体で窓枠の内側に肘をかけて外の景色に目を向けた。彼に嘘をつくことは不可能に近い。高校時代にも彼によって真実を暴かれた者が多数。
「Aさん。酔ってない? 気分が悪くなったら好きに窓を開けてね」
「あ…はい。お気遣いありがと」
ルームミラー越しにほほえまれるが、私にはうっとりしてしまうようなただの爽やかなイケメンには思いづらい。コナン君に引けを取らない彼の洞察力を知っている者として。
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作者名:カサブランカ | 作成日時:2019年5月10日 14時