同級生 ページ6
4人で訪れたのは喫茶ポアロ。3人は午後から米花町で仕事らしい。解散したら私は食後の運動と題して警視庁まで徒歩で変えることにしよう。
「いらっしゃいませー!」
零君…安室さんと梓さんに笑顔で出迎えられる。ここでは零君とは他人のフリ。彼とは高校時代の同級生。
「こんにちは!」
「皆さんおそろいで。空いてるのでよかったらカウンター席へどうぞ」
由美さんは彼氏がいるというのに零君の端正な顔が好きと言ってカウンター席を好む。それに付き合わされる3人は毎回ため息をつく。
「もう由美ったら…羽田さんが泣くわよ」
「いーのいーの。本気じゃないんだから!」
4人でそれぞれ安室さん特性サンドイッチやミルク煮を頼んで食事が始まった。たわいもない話もネタが尽きると、今お互いに関わっている事件の話になる。
他に客がいないからいいものの…零君の目が厳しくなる。
「怖いわよねー。寺社の襲撃だなんて。もちろんどこを襲撃されても怖いけど…」
「しかも最近はこの辺りも増えてきたっていうし。米花町って本当に何か持っているのかしら」
「ほう…それは探偵助手として気になりますね」
食器を洗う手を吹いた零君は、あごをなぞって口角を上げた。
現役刑事たちは零君相手なら大丈夫だろうと事件の概要についてペラペラ話してしまう。公安である零君ならきっと知っているだろう。
「へぇ…お墓に眠っている方が生前何をされていたのかを、脅してでも聞くんですか…。とんだ荒々しい輩がいたもんですね。おまけに非常識ですし」
零君は他の3人に分からない速さで私に目配せし、私もうなずいたか分からないくらいの小さな首の動きで同意を示した。
お墓に眠っている人のことを聞き出す。しかも犯人の手口は巧妙な上に、素顔を見た者は誰もいな
い。今回の件で死者が出ていないのが不幸中の幸いと言った所。
このことを松本管理官から聞いたとき、真っ先にキュラソーのことが心配になった。やっと安らかに眠れる場所を見つけたのに。彼女を日本で埋葬したのは零君のアイデアで、秘密裏に手配したのも彼だ。
(黒の組織がキュラソーのことを探している?)
そう思ったけど、だとしたら何のために。彼女の死亡の確認? 存命していたら黒の組織の情報が流出する可能性がなきにしもあらず…。彼女を抹殺するため?
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作者名:カサブランカ | 作成日時:2019年5月10日 14時