死の恐怖 ページ24
頭がぼんやりする。体中が冷たくて痛い。
薄暗い部屋の中で目が覚めた。
ひんやりとした固い床の上に無造作に寝かされているような感覚。幸い、手足は拘束されていない。
私、こんなところで何やっているんだろう。まどろんだ意識の中で指だけがピクッと動いた。
こんなところで寝そうになってる暇なんてないのに…。
「…くっ」
肘を立てて体を起こすと、体中が悲鳴をあげて顔をしかめた。そういえばテーザー銃かスタンガンを当てられたんだっけ。美女に見とれていたら背後から。
(じゃあ、ここどこ?)
やっと頭がはっきりした。私はさっきまで寺社にいて、気絶させられてここへ連れ去られたらしい。
薄暗い部屋に慣れた目で周りを見渡すと大した広さではなく、物もなければ人もいない。
今度こそ体を起こして立ち上がった。外へ出られそうかどうか調べよう。
一筋の光が差すすき間を見つけて歩み寄ると、急に光の幅が大きくなってまぶしくなり、腕を顔の前で覆った。
「ん。起きちまったのかい」
「コイツ。殺していいのか」
「やめときなって。勝手なことしたらジンに怒られちまうよ」
「ひえっ?!」
この2人の顔は見たことがある…! 零君のFDに乗った捜査の帰りだ。バイクを2人乗りをして銃で襲撃してきた…!
赤茶色のベリーショートヘアに蝶のタトゥーを施した女性がキャンティ。
短い銀髪に素顔の見えないゴーグルに帽子を被った男がコルン。
どちらも零君に教えられた。
(…黒の組織…!!)
ダッと逃げ出したい衝動に駆られたけど、ここで逃げ出したら絶対につかまるし一瞬で殺される可能性もある。2人は物騒な大きい銃、ライフルと言ってもいい代物を提げている。
「あの…ここはどこですか」
無難な質問を投げかけるとキャンティが、けたたましい黄色い声で笑い声をあげた。
「キャハハ! ここへさらわれてそんな冷静なこと聞くバカは初めて見たよ!」
そんなに笑うところ…? 隣でコルンも口元だけで笑っているらしい。
黙れとでも言われて銃を突きつけられるかと思ったのに。拍子抜けした。
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作者名:カサブランカ | 作成日時:2019年5月10日 14時