誘拐 ページ23
「ふむふむ、なるほど…。深夜の襲撃で、相手は銃を突き付けてきたと。夜だったから顔は分からなかったんですね。あ、防犯カメラがあるから映ってる可能性があるんですか?! ぜひ見せて下さい…!」
私はメモを片手に聞き取り調査をした。美和子さんたちはいつもこんな地道なことをしているんだな。尊敬してしまう。
目暮警部に頼まれた寺社では、防犯カメラがパッと見ただけでは分からないように設置されている。今までは1つ残らず破壊されてしまっていたけど、ここでは映像まで記録されている。解決の糸口になるといいのだけど、と映像を見せてもらった。
「あっ…。帽子を被った男2人…ですかね。特徴は銀髪の長身と、中肉中背と…」
この映像はぜひ警視庁に持ち帰って役立ててほしいと言われ、私は最初からそのつもりだったのでありがたく拝借した。
ここに来てやっと一連の事件の手がかりが掴めたかもしれない。早く署に戻って皆に報告したい。
寺社内を見回り、犯人が落し物をしていないかの確認だけさせてもらった。
1人で草むらのかげや塀の内側の足元を観察する。これと言って何かおちているわけでもなく、目立った足跡はなかった。肉眼では難しいのでここはやはり鑑識のトメさんたちの出番だ。
しばらくしたらまた捜査をさせて頂く旨を伝え、私は社務所を後にした。
さぁ署へ戻ろうか。いいお土産ができて急に気持ちが晴れ、浮足立ってきた。
目暮警部たちはどんな顔をするんだろうと予想しながら、誰に何を伝えるかを考えながら帰路につくことにした。
(あれ…)
今、視界の隅で草むらが揺れ動いたような。
立ち止まって近づくと、今度はガサッと派手な音がして人が立ち上がった。
「うひゃああああ?!」
大声を上げて尻もちをつくと、目の前にプラチナブロンドに派手な化粧の美女が現れた。
風貌からして日本人ではないらしい。派手なのはメイクのせいじゃない。顔立ちだ。よく見るとライダースジャケットの前は大胆にジッパーが下がって胸がはだけており、なんともセクシーなたたずまいだ。
(胸が大きい…)
私のことを見下ろす彼女に場違いな感想を抱き、何者かと問おうとしたときには体中が電気でしびれた。
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作者名:カサブランカ | 作成日時:2019年5月10日 14時