十: 見せたい景色 ページ10
グキッ
Aの手から嫌な音が聞こえた気がした。
『痛い痛い痛いッ!?やめて!?手が潰れるっ!!』
「さっきの続き言ってくれたらな」
『言う!!言うからやめて!?手が‥‥っ』
「なんだよ それなら最初から言ってくれよな」
ハクは にっこりと笑い言質は取ったとばかりに力を抜いた。
はぁ と気の抜けた息を漏らすA
『ヨナ様がスウォン様に想いを寄せているのは知ってるわよね?だから二人きりにしてあげる為私がハクを連れ出したかったからよ』
「それで？」
ハクは話の続きを促す。
けれど、さっき言いかけた事はこれで終わったと言わんばかりに見つめ返した。
「‥‥‥で、俺と二人きりがいいのも姫さんと
スウォンを二人きりにさせたい為か?」
何故か一段と声に怒気がさらに含まれた
気がするのは気のせい‥‥ではないような。
『そうよ。だってヨナ様達にとっては私と
ハクはお邪魔じゃない?』
「あ、やっぱ手を潰した方が良かったか
なんだーそれならそうと早く言えよな」
感情のこもってない棒読みな台詞と共に
またもや、力が込められAの手は悲鳴を
あげる。
『痛い痛い痛い!!そんな事ッ言ってないわよ!!
私の どの言葉がハクの怒りに繋がったのッ!?』
「あ？落馬したいのか?」
『したくない!! "ハクだけに" 綺麗な景色を見せようと思ったのに』
「そりゃ失礼」
パッとハクはAの手から放す。
Aは助かった と呟き、手を開いたり、握り
拳を作ったりして動かしてみる。
なんとかまだ使える状態で安堵した。
目的地は城の裏庭。
人の気配はあまり無い代わりに数え切れない
程の桜の木が佇んでいた。
けれど、花はまだ蕾の状態。だが
Aは馬を止めて降りると桜の木に駆け寄った
「おい、これのどこが綺麗な景色なんだよ」
『まあ見てて?』
悪戯っぽく笑ったAは中でも一番大きな桜の木に手をかざした。
"我に従う魂達よ。我の意志に従い
現世に具現せよ"
なにやら呪文のようなものを唱えると
ぱああ‥と辺り一面 全ての桜の木が光り輝き
急速に蕾から花開く。
そして、一分もたたないうちに満開の桜で
咲き乱れるのだった。
「すげぇ‥‥」
ハクも思わず感嘆の声をあげた。
Aも桜を見上げて嬉しそうに解説する。
『桜の木に宿る木霊に力を貸してあげたら
桜の成長を早めてくれたのよ
それと力を貸したのは "木霊だけじゃないわ"』
「ハク様!!やっと会えたねっ!!」
「ハク様。初めまして」
ハクは突然響いた二つの声に "振り向いた"
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
