三十四 : 存在意義 ページ36
『北山の地で火の部族と混戦して崖から
落ちた…！？記憶に無いわよ』
セイやイクスと名乗った神官だという青年は
それが事実だと告げる。
『じゃあ、なんで私は忘れたの…？』
「代償、です。永遠を生きる霊華姫の為に
代々神官には全てを伝え、残して来ました」
『代償って…』
___イクスは、静かに目を閉じてこう言った
「貴女が死から、生き返ることによる代償が
死に関する記憶全てを無くすこと」
『私が、死____?』
死んだ記憶なんてAには頭の片隅にも
ありはしない。
だが、先代霊華姫、ロカとの記憶が残って
いるのは何故か。それは、恐らく
『ロカ様に助けられたんだ…』
誰にも聞こえない小さな声で呟いた
そう思うと、どれほど自分が助けられてきたか
身に染みて実感する。
「そもそも霊華姫という存在は永遠の時を
生きるゆえに、頭にこれまでの膨大な
記憶が詰め込まれている状態です。
ですから
記憶の整理の為にも
不必要と脳が判断した記憶は抹消される。
と、いう性質を持つようです」
“不必要と脳が判断した記憶は抹消される“
このことが気にかかるAを
見透かしたようにイクスが再度、口を開く。
「不必要と判断した記憶には
“死に関すること“には他に“恋愛感情の拒否“
これも、該当します」
『…恋愛感情の拒否…？』
イクスは、深く頷き返した。
セイの目が悲しげな色に染まる、その真意に
Aは気付かない…
「霊華姫という存在は緋の王を守護する為
だけに作られたもの。王に絶対的な忠誠心を
必要としますから…」
厳しいことを言いますが、とイクスが
前置きして告げる。運命を。この先のAの
あり方を。
「“主君だけが全て“そんな霊華姫に主と同等
もしくは、それ以上の存在が出来たら
万が一に、霊華姫様は躊躇われるでしょう？」
『躊躇う…?』
「つまり、こういうことですよA様」
イクスの意図が読めないAにセイが
助け船を出す。
「ヨナ姫様とハク様が命に関わる瀕死の状態
なのに助けることが出来るのは、どちらか
１人だけ。もし、そんな状況だったら
迷わずヨナ姫様を優先出来るか？」
『それは……っ』
的確なセイの指摘。Aの弱い所を
言葉で突き刺した。
これに対してAは言葉に詰まる。
即答出来なかった。
ハクとヨナ、どちらかなんて選べる筈がない。
二人とも、命より大切な人だから。
“従者“としての立場
霊華姫という呪いがAにずっしりと、のし掛かる
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
