四: かけがえのない日常 ページ4
『そういえば＿痛っ』
"誰も何もしていない"のにAの束ねてある黒髪が引っ張られ頭を仰け反らせた。
『なによヒビキ‥‥‥え、そうなの?』
Aは誰もいない空間へと話しかける。
一人喋りをしているこの光景は、ハクから見れば常識外れ極まりない。
だが、霊感を持つAにとっては普通の事
この状況にハクは、不機嫌そうに目線を反らした。
霊感など何も持たない俺は
当然、霊は見えないし声すらも聞こえない。
だから、Aの周りに俺の知らない世界が
広がっていると思うと腹が立つ。
俺だって、Aと同じ景色が見たいんだ。
姫さんは、AはAだと受け入れて
そんなこと気にしてないようだった。
「どうしたの？」
『スウォン様 お着きになられたみたいですよ』
「そうなの?出迎え行って来るわ!!
教えてくれてありがとうって伝えておいて」
ガタッと勢い良く立ち上がったヨナは
バタバタと慌ただしく部屋を出て行った。
『ヒビキ、ヨナ姫様がありがとうだって‥‥‥‥
ふふっ。霊でも声は聞こえるんだったわね』
ほら、また俺の知らない会話をする。
俺は、やけくそに残りの饅頭を自分の口の中に
無理矢理押し込んだ。
けれど、広がる甘い味わいは饅頭のそれでは
無かった。
これは‥まるで餡粉餅＿＿
『あれ?餡粉餅じゃないわ‥?』
Aは、一口食べた後 不思議に手に持ってる
物をまじまじと見た。
俺の目にも、どこをどう見ても饅頭にしか
見えなかった。
ということは、俺の食べたやつは‥‥‥
同時に同じ思考に行き着き
ハクは、ふふふ‥と嬉しさから不気味な笑みを
浮かべた。
『気付かなかった‥ヒビキ達‥取り替えたわね』
小さく、途切れ途切れに紡がれる言葉を耳にし
ハクが目にしたのは珍しく顔を真っ赤にする
Aだった。
可愛い＿＿。
不意打ちの赤面顔に
ハクは、そう思い見入ってしまう。
『ハクのバカ!!後で覚えときなさいよ!?
ヒビキッ!!ちょっと来なさいッ』
ヒビキ‥とやらの霊の手を引いてAは
走って出ていった。
その時に"良かったじゃん"と声がしたのは
きっと聞き間違いだろう＿＿。
不思議な目に見えない幽霊達と
その幽霊に好かれるAとの毎日は
ハクにとっても飽きること無い
かけがえの無い日々だった。
「さあてと、姫さんをからかいにでも
行きますか」
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
