二十七: 無事の生還 ページ28
『ん…』
重たい瞼を持ち上げるようにして目を開ける
見慣れない天井
窓からは夕日が差し込んで来ていた
「大丈夫か！？A、俺が分かるか？」
視界いっぱいに映るハクの顔
やっと戻ってこれた。と安心感が広がる
『もちろんよ。ただいまっ！ハク！』
「……すげェ安心した…ここは、俺の故郷
風牙の都…ふわあ」
ハクは大きな欠伸をした
良く見ると目の下には黒い隈
あきらかな寝不足が見え見えだ。
『ハク、寝不足？駄目よ。体に悪いんだから』
「アンタに言われたくねェな。あれから
３日間、治療しても寝たきりなアンタが
目覚めるまでずっと起きてたんだよ」
『そう、だったのね…』
Aは罪悪感に浸る。
反逆を止めようと自分だけで行動してしまった
から、ハクにも心配をかけてしまった。
恐らくヨナにも。
あの時に、違った行動していたら未來は
変わってたのだろうか。
「…あの時、Aが俺を頼っても違う結果に
なったかどうかは分からねェぞ」
この男は、心が読めるのか。
全て見透かしたような口振りだった。
これは長年の付き合い故か、それとも____
目を見開くAに、ハクは一変して
意地悪な笑みを見せた。
「だから、Aがすべき事は後悔じゃなくて
勝手に自分で命懸けて、俺をめちゃくちゃ
心配させた責任取ることだっ」
『せ、責任って___ちょっ』
ハクはA隣に寝転がりぎゅっと抱き締める
背中から感じるハクの体温
自分の方へと回された腕に堪らずドキリとする
「とりあえず俺の抱き枕になってくれ
…眠いから」
『な___!?』
コイツは慰めてくれたり、からかったり
どうしたいのか
いや、答えなんて既に分かっているだろう？
だから、精一杯の感謝をこめて___
『ありがとう』
ふっ__後ろでハクが微かに笑っているように
思えた。
「ハク、A起きた…？」
ゆっくりと扉が開きヨナが顔を出す
Aが目覚めているのを見ると、バタバタと
足音を立てて駆け寄った
「良かった。生きてる…私、Aがもう
目を覚まさないかと…ごめんなさいっ
私は守られてばかりでっ……」
大粒の涙を流しヨナはAに飛び付いた。
それは泣きじゃくる幼い子供のようで。
Aは、ずっとヨナの背を撫で続けた
***
時は過ぎ、暁の空が煌めく
漂う意識の中、近くにいるのに遠い…そんな
彼らの声を耳にする
「___を、私も守りたい」
「俺も___を傷つけさせたくねェ」
「ありがとう___」
声が遠ざかっていく_____
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
