二十六: 全ての始まり 後編 ページ27
妹がいなくなって数ヵ月
私もカヤの元に逝く時が迫りつつある頃
森を散歩していると
血溜まりに沈む桃色の髪をした少女がいた
ゼノは真っ青になり動揺を露にする
「ロカッ！」
「ゼノ……次の霊華姫に、その子、選ばれた
守ってあげて…」
息を呑むゼノ。嘘だろ と何回も繰り返している
Aは理解出来ずに見守るしかない
ロカという少女はAを見つめた
「カヤさん…幽界で…お姉ちゃん、生かして
と…四龍の他…五体目の、龍に、そして
霊華姫に…貴女が選ばれた」
カヤが私を生かす為に
龍に選んで貰おうと___?
私なんかが、五体目の龍や霊華姫なんて
「自信もって…貴女には元々、力が備わって
いる…」
私に、力が…?
「けど忘れないで “霊華姫は恋が出来ない“
“恋をしてはならない“ことを」
どうして…？
「私は…愛する人と幸せにはなれなかった…
運命に、負けたの…」
ロカの顔色が生気を失っていく
隣でゼノが歯を食い縛る。
Aの思考は空白に支配されていた
「ごめんね…貴女にまで…辛い運命を背負わせてしまって…ごめんね。きっと貴女なら…
運命を…覆せる……」
***
『____っ』
Aの意識は急激に現実に引き戻された
頭に靄がかかったような感覚が残る。
「思い出したかな？辛い記憶を引き出して
ごめんね」
Aの自室に似せたその部屋には
ロカが悲しそうに佇んでいた
『ロカ様“恋が出来ない“とは、どういうこと
ですか？』
「貴女の身を守る為に言えない。でも
私が緋龍を転生させる為にした儀式が成功した
反面、貴女にも…」
すう…Aの体が、だんだんと透けていく
ロカは切羽詰まって、まくし立てる
「傷の痛みの“先延ばし“は欠陥品じゃない。
不完全な霊華姫でいいのよ。完全な霊華姫に
なるのは、役目を終え幽界に来た時」
『そうなのですか』
「うん。もう一つ “代償と引き換えに生き返る“
ことが出来る力があるんだよ。
さ、お別れの時間。私の全てを使って
送り出すからA、必ず幸せになってよね」
ぱあああ…
Aの体が目映い光に包まれる
言わなきゃ
ロカ様に伝えたいことを
もう一度、会って言いたかったこと
『ありがとう！私はロカ様の分も幸せに
なってみせるから。だから、ロカ様も幽界で
幸せに過ごして下さい』
「うん」
私の最後の瞳に映ったのは
初代の龍達に囲まれたロカ様だった
待ってて。貴方達の元に帰るから____
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
