二十四: 全ての始まり 前編 ページ25
『ここは…』
目が覚めると暗黒が広がっていた。
太陽が昇らない永遠に夜が続く世界
Aは、闇しか無いこの場所を知っていた
ここは霊華姫、始まりの原点
あの世である幽界だ
『……』
Aは目の前に聳え立つ城
緋龍城と全く同じ建物に足を踏み入れた
城の中も、緋龍城と瓜二つ。
長い回廊を進み、曲がり角を曲がりると
同じ場所にAの部屋がある
そっと部屋の扉を開けると思わぬ先客がいた
小柄な少女の、肩までしか無い桜色の髪は
月明かりに照らされ光っていた
『会いたかったです。ロカ様』
「うん。私もAに会いたかった」
先代霊華姫 ロカは、あの時と変わらぬ穏やかな笑みを浮かべていた
「私ね、Aに伝えたいことがたくさん
あるんだ。山のようにね」
大袈裟なくらい身ぶり手振りで表現するロカ
Aは、相変わらずな可愛い態度に苦笑した
「取り敢えず…Aが目を背けたくて心の奥に閉じ込めてしまった記憶を呼び覚まそっか。
伝えたいことの大半は、ここにあるからね」
『閉じ込めた記憶…?ロカ様は何を知ってるの
です？』
「んー…」
ロカは手を顎にあて思考してから、こう答えた
「過ちが起こした悲劇の物語」
『悲劇…?なんで……』
ロカは、背伸びしてAの目を手で覆う
視界が暗く染まった時、急速に猛烈な眠気が
Aを呑み込んだ
数千年も気の遠くなるような年月を遡った大昔
Aは貧しい村に住み、明日の為に
必死に生きあがいていた
家族は、父と母と兄とA、そして双子の妹の五人家族。
辛くても家族がいれば幸せだった
その小さな幸せも、呆気なく崩れ去ったのが
18歳になったばかりの時のこと
『村を出る…?』
妹が病にかかり、私も体の調子が悪いと訴えると、母親から衝撃的な言葉が飛び出した
『どうして…私とカヤが村を出なくちゃ
いけないの？』
母親と父親は、涙を流しながらAと
双子の妹__カヤに懇願した。
日々を生きるのに精一杯な家庭では
薬を買う余裕はもちろん無い。
せめて
跡取りの兄には病を感染させるのを
防がなければ、ならない。という
結論に至った両親は決断する。それが
Aとカヤだけ村から離れた小屋に移り住む
と、いうものだった。
「お姉ちゃん、行こうか」
『ええ』
身支度が整えられAとカヤは翌朝には
村を去った。
“病なんかに負けずに生き延びてみせる“
そんな決意を抱きながら
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
