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二十三: 散る桜 ページ24

何も知らない城の者が
駆けつけるまで、あと僅か___

「状況が変わりました。Aを捕らえて。
なるべくこの状況の証拠を残さずに」

切迫詰まったスウォンが兵士に命令を下す。
この瞬間、兵士はAに飛びかかる

その瞬間__がくっ
Aの体から徐々に力が抜け始めた。
マズイ___!!!
そう思うも束の間、その場に崩れ落ちた


髪色が、桜色から元の黒髪に戻る。
それと同時に
げほっ
体の奥底からこみ上げてきた鉄の味を吐き出す
右肩、左腕二ヵ所を中心に猛烈な痛みが
Aを襲った。


私は、嘘をついた

さっき傷を負うことも無い。と言ったけど
本当は
能力発動中、髪色が変色している間のみ

体が負担に耐えられ無くなり能力が解除されると、今まで負った傷口が開く。
ようは、痛みが襲うのを先延ばしにするだけ。

私は “不完全な霊華姫“ だから
欠陥品の力しか使えない

けれど


大切な人の逃げ延びる時間が稼げたならば
私の勝ちだよ。スウォン


身動きが取れないAを拘束する兵士達
スウォンは コクリと頷く

「幸いAは特別な人。城の者には言い訳が
つきますね。幽界からのお客人…とか」
『…っ』
息をのむAにスウォンは、冗談ですよ。と
笑って答えた。


「スウォン様。Aを返して貰います」


不意討ちで現れた高華の雷獸
その姿を兵士達が認識した時は大怪我を負った
後だった。
「何故…お前はヨナ姫と逃げた筈!」
ケイシュクが動揺を露にする

「生憎、Aを置いて逃げるという選択肢はねェよ」

ハクはAを、お姫様抱っこすると
風のように、その場を去る。

直後、ジュド将軍を始めとする城の者が集結。
スウォンは追手を放とうにも放てない状況下に
陥った


ハクはAを抱え、ひたすら走る

『なんで…戻って来て、しまうのよ』

「姫さんはミンスと裏山に逃げ延びたから
心配することはねェよ」

『ハクも逃げて…私、もう残された時間が
少ないんだから…ごほっ』

Aは二度目の盛大に吐血する
大怪我を負った肩、腕からも血が滲んだ
じわじわとハクの腕に赤くて、生ぬるい感触が
広がる

「死ぬな!お願いだから…またいつものように軽口を叩けるぐらいに元気になってくれ」


こんな弱々しいハクを見たことがなかった
Aの眩む視界
痛みも感じなくなり、暗闇に意識が引きずり
込まれていく

「ずっと伝えたかった。
俺はAのことが____」

ハクの言葉を最後まで聞くことなく
プツリと意識が途切れた

二十四: 全ての始まり 前編→←二十二: さよなら



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深雪 - とても面白かったです!更新頑張ってください! (2018年6月5日 18時) (レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです!私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです!!これから頑張ってください。応援してます! (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです!頑張って下さいね!応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました!そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小林春樹 | 作成日時:2016年2月27日 23時

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