二十: 怪しい雲行き ページ21
『ヨナ様を放しなさい！！』
鈴と響くAの声
ケイシュクは冷静にこの状況を有利にとる
「止まりなさい！さもないと…」
護身用のナイフを取り出すが手元に衝撃が走る
カラン
音をたてて落ちるナイフと短剣
Aの放った短剣がナイフを弾いたのだ
『ハク相手に練習してたかいがあったわ』
余裕そうに笑うA
ここでケイシュクは初めて焦りを見せる
ケイシュクは戦闘より頭脳。
向かって来るAに対抗する手段は既に
絶たれてしまった。
やむを得ずヨナの拘束をとく
『ヨナ様、ご無事ですか！？』
Aは、ふらつくヨナを力強く抱きしめた。
「大丈夫…どうなってるの…さっきスウォンが
父上の部屋に…」
震える声で告げるヨナ
『イル陛下…！！』
ハッとしてAは、ばあんと大きな音をたててイルの部屋の扉を開け放つ
血溜まりに沈むイル。
飛び込んで来た光景は絶望だった。
「父上ッ！！」
ヨナは血相を変えてイルに駆け寄る
ぎり…歯ぎしりするA
間に合わなかった。
Aは己の無力さを呪う
「遅かったですねA。イル陛下は私が
殺しました」
スウォンな現実を突き付ける
返り血を浴びた着物が其れが事実だと証明して
しまっていた。
「嘘…貴方がそんな…」
信じられない現実にヨナは、希望を打ち砕かれ震えが止まらない。
「スウォン様！ご無事ですか！？」
バタバタと足音がしてケイシュクの他にも
守備隊が勢揃いする。
ヒビキ達が足止めしてくれていた兵士の他にもスウォン派の輩が残っていたのだ。
スウォンとケイシュク、兵士達に挟み撃ちに
されたこの状況。最悪だった
それでもAは不敵に笑う。
自分を盾にすればヨナを助けられる
***
「A！姫さん！無事でいろよ！！」
剣の交じり合う音を聞き駆けつけたハク。
生前の姿に戻ったヒビキとセイと合流し
イルの部屋へ走る、走る
パリン
近くの窓が割れ飛び出してくるA
ヨナを抱え、ハク達の所に着地した。
「姫様！」
「無事か！？」
ヒビキとハクは一目散に駆け寄る
『ヨナ様も私も大丈夫だよ』
無傷を装うAだが、僅かに表情が歪んで
いるのをハクは見逃さなかった
何故かセイだけ無言を貫く
「逃げるぞ！」
Aの手を掴み走り出すハク。だが背後から
かかった声に足を止めざるを得ない。
「貴方は化け物の味方をするのですか？」
その声の主、スウォンがケイシュクと共に
姿を表した。
兵士達も、だんだん集まってくる。
「Aは人では無いんです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
