十八: 説得 ページ18
ヨナの宴は何事もなく終え
夜空に月が昇る
宴会の後の場内は不気味な程に静かだった。
しーんと物音一つしない。
それゆえに
コツコツ_____ただ一つの音は遠くまで反響する
『今日は満月ね。綺麗だわ』
唯一、響くの足音は少女のものだった。
月が綺麗だと言いつつ少女の目に映る月は
全く正反対に見えていた。
血で塗り替えられた赤月が不気味に笑っている
コツ、コツ____少女とは反対側からも
近づく足音。それは少女の前まで来ると
鳴り止んだ。
『スウォン様 何処に行かれるのですか?』
青年の前で立ち止まる少女。
その口振りからはやって来た青年__スウォンの
行き先を知っているかのようだ。
少女の赤い瞳に全て見透されているようで
スウォンは本能的に察する。
気を抜くな。いつ殺されてもおかしくない。と
「貴女こそ何故ここにいるのです？
そして何者なんですか_____A」
赤月という名の満月が少女___Aを
照らし出す。
しゅる__腰まである長い髪を束ねていたリボンを一気に引きほどく。
ふわりと舞う“桜の髪“
漆黒から桜色へと変化した髪色。
悲しげに揺れる緋色の瞳。
今までのAの面影は既に無い。
儚い夜桜の思わせるAは、こう言った。
『幽界の姫。霊達が集うあの世を治める者。
霊華姫と呼んで下さい』
「貴女が…」
スウォンは、ごくりと息をのむ。
文献にも名前ぐらいしか載っておらず目の前のものは、未知の存在。
どんな刃をもっているか想定できず
さらに警戒心を強めた。
『私はヨナ様とイル陛下に仕える身として。
先代霊華姫より託された使命により
私と彼らは“反逆者"から主達を守る剣となる』
"我に従う魂達よ 我の意志に従い
この現世に具現せよ"
呪文を詠唱すると
いつもの二人が姿を現した。
「スウォン様。貴方の企ては俺が調べさせて
頂きました」
冷たい殺気を放ち、大剣の柄を握るセイ
「また暴れ時かなぁ？戦闘なんて久しぶり」
ヒビキもまた12歳とは思えぬ殺気を放つ
気軽な言葉を言うも目が笑っていなかった。
『スウォン様、今からでも遅くない
反逆など止めて下さい。婚姻をヨナ様と結んで正式に王になって下さいよ！
ヨナ様もそれを望んでいますから』
「……」
無言で黙るスウォン
『貴方に剣を向けたくないんです！考え直して下さい…復讐とヨナ様 ハク達…
どっちが大切なんですか…？スウォン様』
心からの悲痛な叫び。
スウォンは決意を固めた筈なのに
かすかに心が揺らいだ。
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
