十七: 幸せの閉幕 ページ17
『ごめんねハク、わざわざ探して来てくれて』
手を引きAの先を歩くハクの背中に
呼びかける。
「……」
ハクの返答は無言だった。
『ハクごめんってば…宴に行くのが遅くなったこと怒ってる？』
ハクは立ち止まりくるりと振り返ると
はあーと大きなため息をついた。
「俺が腹立つのは、そこじゃねェ
スウォン様と何かしてたことについ、て…」
Aの勘違いを指摘するうちにハクは
あることに気付き、だんだん声が小さくなる
『そのことだったの！ハクってばヤキモチ？』
ニヤニヤと笑いながらからかうA
知られたくないことを知られチッと舌打ちする
『ハクは悪戯好きだけどこんな可愛い所も
あったのね〜!』
「あのな…」
事実なだけに反論出来ないハク
いつもからかわれている分とばかりにニヤつき
を止めないAに、むしゃくしゃと頭をかく
「ああヤキモチだよ！こんな気持ちになるのはAだけ。アンタが"特別"だからだ」
ああ、そっか__
Aはハクの心の奥に燃える赤い焔を感じた
其れは長年 自分に対し抱いている感情
ハクは私のことが___
『あ、頭が…痛い…』
表情を苦痛に歪め頭を押さえた
その感情について考えるほど
それは呆気なく霧散していく
やがて 其れに関係するこの瞬間の事さえも
全ての記憶が空白に染まる
「大丈夫か！？」
ハクは焦って顔を除き込む
何かの病かと嫌な予感が浮かび上がったが
『今 私は何を考えてたかしら？』
返ってきたのは拍子抜けするような呑気な声
ハクは、目を点にして呆気に取られた。
「A！ハクもこんな所にいたのね」
二人の姿を見つけたヨナが
走り寄る Aも普段と変わりない様子で駆け寄った
『すみませんヨナ様…遅くなりました
お誕生日おめでとうございます』
「ありがとう！」
Aは白い小さな箱から取りだした贈り物
を手渡す。
それはヨナの髪と同じ暁の色をした幸運を呼ぶ守り石のついた華やかな首飾り。
城下町に出かけた時 見つけて取り寄せて貰った物だ。
それを受け取ったヨナは顔を輝かせる。
嬉しくて仕方ないといった子供のような笑顔で
『永遠にヨナ様の幸せを願ってますから』
にこっ Aはヨナに微笑んだ
何故かその笑顔は儚い
『ハクはもう少し素直になった方が良いわよ』
「余計なお世話だ」
からかう感じではなく本気で心配するAに
仏頂面で答えるハク
『陛下に挨拶して来るわね』
ひらひらと、手を振って宴会場に向かうAが、振り返ることは無かった
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
