十六: 一度くらいは ページ16
一方 その頃
宴の会場では
「姫様、おめでとうございます」
「おめでとうございます」
ヨナの誕生日の宴に集まった全ての人が
祝いの言葉を次々に述べる。
「ありがとう」
ヨナはお礼を言うと小走りに壁際に控えるハクの元に駆けよった
「ハク、A知らない？」
「俺が知ってる訳ないじゃないですか 今日は
アイツの姿まだ見てませんよ」
ハクが当然のように答えると、使えないわねと
不満気な顔をするヨナ
「分かりましたよ アイツ探して来ますから」
その答えを待ってたのかヨナの顔が綻んだ
「私は今 宴を抜けれそうにないから頼んだわよ
Aに髪を結って欲しいの」
「はいはい」
ハクは面倒臭そうに返事してから
重い足を動かした。
***
『スウォン様…今のって…』
Aはスウォンが触れた頬に手を重ねた。
触れられた頬が熱を持っているように熱い
この熱はいつまでたって冷めそうになかった
「お礼もかねてです。Aが髪を結い上げたのは初めてですよね」
『そう、ですけど…』
サラ…スウォンはAの束ねた髪を手で
掬い上げた。サラサラで綺麗な黒髪は指の隙間から少しずつ零れ落ちる
「ハクより先に見たかったんです」
スウォンはハクと同じ時間を過ごしてきたのに
何故か彼に負けている気がしていた。
ハクは____
いつも強くて
頼りになって
かっこ良くて
自分に無いものを
全て持っている。
"ハクの全てが私の目標なんです"
ハクとAとスウォンの三人で
お忍びでヨナを城下町に連れ出した日
その夜告げた
その言葉は
想いは
今でも変わらない
恋愛に関しても
ハクには ちっとも及ばない気さえする
けれど
林檎のように顔を真っ赤にするA。
初めてこの表情を独占できたこと
スウォンも一回くらいはハクを上回ることが
出来たのだろうか。
「おい。何を二人で仲良くやってんですか」
突然響いた低い声
怒気が含んだその声にスウォンは
我に返った。
Aも思いもよらない人物の登場に
目を丸くする。
『ハク 何でここに？』
「アンタを探しに来た。
姫さんが呼んでるからな 行くぞ」
『え、ええ』
ハクはAの手を強引に引き
Aは引っ張られるがままに その場を後にした。
「A…本当にありがとう」
切ない思いに胸が痛むことから目を反らし
二人の姿を見送った。
「…ヨナの宴…行かなくてはいけませんね」
スウォンはヨナとの最後の時間を創るべく
宴の会場へ急いだ。
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
