十一: 普通が特別に変わる瞬間 ページ11
「‥‥どちら様？」
人懐こい笑みを浮かべる小柄な銀髪と少女と
茶髪で長身な大人びた青年に、ハクは警戒心を抱く。
足音も無ければ、ハクが気付かない程に気配を
消し近くにやって来た2人の其れは常人に出来る
芸当では無い。
『ハク、怖い顔しないで?
ヒビキとセイよ。ほら私の霊友達の』
「は？」
突然の事にハクは目が点になる。
突拍子もない現実に、いきなり言われても思考が追い付かなかった。
「ハク様。初めまして!!ヒビキだよ
短い間だけどよろしくね」
「俺、セイ
一応A様の護衛やってる者でして」
ヒビキは笑顔で、セイは口許を緩ませて
自己紹介をする。
「あ、ああ」
まだ信じられないのか曖昧な返事を返すハクにセイは、ササッと近くに寄り耳元で囁いた。
「長年一緒にいたんで知ってるんですけど
ハク様 聞きたい?A様の黒歴史＿＿」
「おう。聞きた＿＿」
『ねぇ、セイは何言ってるのかな?』
にこぉ‥‥と怒りを隠した笑顔を向けるA。その手には剣が握られている。
「そんなコトしたら普通に怪我しますよ俺ッ!?霊のままが良かったぁぁ!!!」
逃げまわるセイを必死で追いかけるA
「ハク様 私達を実体に戻すと言い出したのは
私達では無くA姫様だからね？」
ヒビキはハクに、そっと耳打ちする。
ハクは、また目を丸くした。
「A姫様が気づいてたからなんだよ?
ハク様の気持ち」
「何が‥？」
ハクは全く思い当たるふしが無い。ヒビキは
それを察し視線をAに向けた。
そのAはというと‥
桜の木に宿る木霊達に囲まれてセイと
楽しそうに笑っている。
"ハクは私がヒビキ達と話す時 悲しそうにするから、私の友達を知ってほしくて"
「＿＿だそうだよ。ハク様も意外と感情が
表に出やすいもんねー?」
「うるせェな」
幽霊なんて無縁だと思っていた。
どうせ、見たくても自分は"特別"じゃないから
見れないものだと諦めの境地にあった。
けれど
『ハクもこっちにおいでよ』
俺に向かって伸ばされた手は
"普通" だった俺をAと同じ"特別" に変えるもので。
その手を取った俺を、Aのいる高みへと
引き上げてくれた。
「ハク様ー」「ハク様っ」
俺を温かく迎え入れてくれた不思議な奴ら。
ああ、出来ちまった。
Aの隣で、周りには霊達がいる。
俺の、もう一つの居場所
けれど、この時の俺はまだ知らなかった。
Aと、霊という不思議な存在達との
過ごす時間がこれで最後になるなんて
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深雪 - とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2018年6月5日 18時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
輝夜 - 面白かったです！私パンダアイラブプロデューサーという名前で占ツクに投稿してます。暁風の夢さんのこと応援してます。一緒に頑張りましょう!! (2017年4月29日 12時) (レス) id: 0642b6c808 (このIDを非表示/違反報告)
Pano - 面白かったです！！これから頑張ってください。応援してます！ (2016年9月4日 20時) (レス) id: 6790929056 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - 良かったです！頑張って下さいね！応援しています(*'▽'*) (2016年6月7日 23時) (レス) id: 244a9211b5 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - のあさん» コメントありがとうございました！そう言っていただけると嬉しいです。 (2016年6月7日 23時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小林春樹 | 作成日時：2016年2月27日 23時
