黒翡翠-あの子の名前は- #2【utit】 (ページ9)

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第56話ページ9

A side

私が唱えたのは、結界を作る魔法。

それも気づきにくいように透明な結界を。

あかりを見ていると、突然振り返り、私に目線を合わせた。

詠唱が終わったのだろう。

…さて、あかりはどう反応するだろうか。

驚くか。怒るのか。…なんだか楽しみに思ってしまう自分がいる。

『カラフルで、綺麗だね…』

結界があるから。という安心感からか、思わずそんな感想を言う。

私の言葉を聞き取ったのか、あかり達は怪訝そうな顔をする。

そして、私の目の前に光球が向かってきた。

しかし…結界のおかげで、一瞬にしてそれらは消えた。

「…どうして、どうしてっ！」

悔しそうな顔をして叫ぶあかり。

『……結界を張っただけだよ』

私はさらっと事実を告げる。なんだかタイミングが良い。丁度予鈴がなった。

すたすたと歩いて教室へ戻る。

席に座って呆けていると、あることに気が付いた。

録音機はちゃんと動いていただろうか？

隠しながら確認をする。…ちゃんと録音されているようだ。

音声は聞いていないが、録音を止めれたのだから、ちゃんと出来ているだろう。

これで一安心といったところか。

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