第73話 ページ26
A side
教室に着くと、クラス全員からの視線がこちらへ向いた。
『「あ、あはは…」』
と私とくろは、色々あったけど質問攻めにされたくないね…と目で会話をして、ぎこちなく笑った。
「二人とも先輩とどこ行ってたの！？」
「何があったの！？」
…と私たちの願いが叶うはずもなく、授業が始まるまで、途絶えることのない質問に答え続けた。
「今日は…めっちゃ疲れたな…」
『うん…』
はぁ、と溜め息をつきながら夕日を背中に歩く。今は、学校が終わり、家に帰っている途中だ。
『質問に嘘混ぜたりしたけど、大丈夫だよね…』
「そんなん大丈夫よ…」
声も足取りもどこか低く、重い。
今日はどちらも疲れ切っていて、会話は少なかった。しかし、二人でいるだけで満足感があった。
『ばいばい』
「うん、ばいばい」
『眠い…今日も学校か…』
今の時刻は六時半。今日は何か夢を見た気がする。確か…Sクラスに進級するっていう夢だったっけ。
…それより、昨日は寝坊したから今日はちゃんと準備もしっかりしなきゃな。
それから朝ごはんを食べ、準備をして、テレビをぼんやりと見ていると、
『あれ、今日見た夢って現実？』
頭にふっと疑問が浮かんだ。しかし、思い出す前に、インターホンが鳴った。
はーい、と返事をしてテレビの電源を切り、玄関へ向かう。
『おはよー』
「おはよ！」
元気な挨拶が返って来た。今日は何かあるのだろうか。
「今日は寝坊せんかった？」
くろはニヤニヤしながら聞いてくる。
『してないよ』
と笑う。それにつられ、くろも笑い出した。
『そういえば、今日なんか元気だけど、何かあるの？』
歩きながらくろに問いかける。
「んー？A、そんな興味ないの？Sクラスに進級するの」
『…えっ！？』
「いや、え！？」
普通に夢ではなく現実だった…何故忘れていたのかは気になるが…。
そういえば、昨日疲れ切ってこの道を歩いて帰ったな…。
『なんか忘れてた…』
「あんな出来事、なかなか無いのに忘れるん…！？」
『あはは…』
その後も、ちゃんと覚えているか追及され、いつの間にかSクラスの教室の前。
「なんか緊張するなぁ…」
『うん…そのまま入ったので大丈夫なのかな…』
教室のそばでうろうろしていると、
「ああ、あなたたちね！紹介するから私の後に着いてきて」
このクラスの先生であろう女性が、教室へと入っていった。
「今回は私から行くわ…」
続いてくろが教室へ入り、私も後に続く。
続く (更新停止中)
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作者名：玲華 | 作成日時：2020年7月20日 0時
