黒翡翠-あの子の名前は- #2【utit】 (ページ11)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:6,868 hit

第58話ページ11

A side

『…ねむ』

あぁ、学校嫌だな。せめて授業がもう少し短ければいいのに……

そう思いながら、のんびりと支度をしていると、インターフォンが鳴った。

くろちゃんよ～、という母の声。

時計を確認するが、いつもより十五分ほど早い時間だ。なぜ、今日は早いのだろう…

そんな疑問を抱えつつ、とりあえず玄関のドアを開けた。

『早くない？どうしたの？』

「なんか感想文で入賞したらしくて。はよ来いって言われたんよね～」

と言うくろの顔は、眠そうだが、少し嬉しそうだ。

…あぁ。やっぱり、くろは凄いな。私とは全然違う。

『なるほどね。じゃあ今から出る？』

…担任に言うこともあるし。好都合かもしれない。

「そうしてほしいー」

『了解』

「そういや、Aのクラスってどんな感じなん？」

学校に着く前。突然の質問。

"全員"が仲いいというわけではないから、ギクッとした。

『…まぁ、普通なんじゃないかな』

けれど、平静を装って返す。

「…そっか。なんかあんまクラスのこと流れてこんのよね」

…そういうものなのだろうか。それが私のクラスだけなのか、全てのクラスなのか…

それは分からないが。

『ばいばーい、頑張ってね』

「ありがと、頑張る！」

ここでお別れだが、心からの笑顔に、思わず私も笑顔になる。

さて、教室へ行こうか。

先生、いればいいんだけど…

と誰もいない廊下で溢した。

.