第49話 ページ2
A side
そう、願っていたのに――。
どうやら、神様は私のことが嫌いみたいだ。
――いじめはエスカレートしていく。
いつしか、机に書かれる言葉も鉛筆は使われず。
物は隠され。
呼び出されたと思えば、そこで愚痴を言われたり。暴力を受けたり。
…正直言って、堂々と、罪悪感も無しにそんなことを出来てしまうのは、もう凄いとしか言いようがない。
呼び出される時の場所は、いつも同じだった。
その場所は、周りから見えにくいところだが、やはりどこからかは見えてしまう…
必ず一人は近くを通るのを見かける、そんな場所だった。
そして人が一人、一人と過ぎていく度、私は悲しくなった。
それは、通り過ぎていく人だけでなく、私自身への悲しさもあった。どうして、私は何もできないのだろう、と。
通り過ぎる人の中には、目があった人もいた。
その時相手の目は、表情は。
"見てはいけないものを見てしまった"
皆、そんな気持ちを持っているように思えた。だから、余計に悲しく、苦しくなった。
そして、それらの人は。
全員、すぐに目を逸らしたり。急いで通り過ぎたり。これがお約束のようになっていた。
――そう、皆見て見ぬふりしかしなかった。
"誰も、私を助けてくれなかった。"
友達が少ない私にとって、しょうがないも言えるだろう。自業自得だとも言えるだろう。
そうして自己嫌悪になり、
もう、何もかもが嫌になった。
だから、誰にもいじめを打ち明けなかった。
先生を、信じようという気持ちがなくなり。一番仲のいいくろにも。親にも。
心配されるのも、少し嫌だった。私を信じてくれないかもしれない可能性、動いてくれない可能性…これがあると考えると、
どうせ、時間が解決するだろう、と諦めてしまった。
私は、皆より魔法を上手に使えるから、本当に嫌だったら、彼女らを……
嫌、それはさすがにしたくない。想像もしたくないが…その最悪な結末を考えてしまった、からかもしれない。
そして全てを諦め、耐え忍ぼうと。
決意を固めた時…それはいじめが起きて、半年たった頃だっただろうか。
その時に。
私に…周りの人々に…全てにおいての"大きな変化"が訪れた。
ある人によって。
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作者名：玲華 | 作成日時：2020年7月20日 0時
