もう君には。【sm】

第19話 ページ19

you side

ピピピピッ

そんな憂鬱になるような音によって、私は目が覚めた。

その音の正体は、昨日7時に鳴るようセットした目覚まし時計。

別に休日ぐらい、いつ起きてもいいじゃん…


…そう思っても、無駄なんてことは分かってる。

あの人に反抗したって無駄だから。

私は、怒られるの大嫌いだから。…それに、暴力なんて振るわれたくないから。


もう、しょうがない。


何年経っても嫌なことは好きになれないな。

そんな憂鬱な気分で階段を下りる。

母のいるリビングは、階段を下りてすぐ左にある。


…あまり暗くならないように…元気に挨拶しなきゃ。

『おはよう。』

ちゃんと、出来たかな。

こうやって気にして…こういう生活は、本当にストレスが溜まる。


「おはよう。」

ニコニコしながら挨拶を返す母。

一体、どんな心情なのだろう…


いや、こんな態度で接する人の心情なんて分かりたくもないや。

結論が出た瞬間、心の中で苦笑した。


「ご飯出来てるわよ。」

『ありがとう。』


ちゃんとお礼を言い、自分の席に座る。

数秒後に母も席に座った。タイミングを見計らって、


『いただきます。』

「いただきます。」


…いつも通りの朝。

食パン、目玉焼き、サラダ、ココア。

いつも通りのメニュー。

朝ごはんの味もいつも通り。


…母と二人きりより、一人きりのほうが断然楽。

速く食べてしまおう。


『ごちそうさまでした。』

「あら、今日は速いわね。」

『…そうかな。』

まさかそのことを言うとは。ただの感想だと思うけど…


『お皿洗ってくる。』

そう言い残してキッチンへ向かった。



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