PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ10)

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45.オープンセサミ。ページ10

戻って来たAちゃんの手には消毒液と絆創膏と、包帯。

それを置きっ放しにしてた鞄の中に入れて、肩に引っ掛けて「お待たせ」って俺を見上げる。

「あ、Aちゃん。鞄持つよ。貸して？」
「ううん！大丈夫だよ。重くないから」
「重いとか、重くないとかじゃないんだけどね...」
「え？」

Aちゃんの返事を待たずに、彼女の肩から鞄をヒョイっと取り上げて自分の肩に掛けた。

昔、氷を運ぶ為に作られたってゆーキャンバス地のトートバッグ。

「ありがとう」
「ううん、良いの良いの。あ、俺もここの鞄、持ってるよ！」
「あっ！そうなんだー！頑丈で使いやすいよね」
「そうそう。便利なんだよねー」

そんな話をしながら、夜道を歩いて

少しずつ自分ちが近付いて来て

ソワソワして、緊張して

ギュッてAちゃんの鞄の持ち手を握ってしまう。

「あ、あのマンションなんだ」

俺が指差した先を、Aちゃんが見る。

「近かったんだねぇ、私んちと！」
「うん...近いんだよね」

だから、いつでも遊びに来て良いよ！

こんなご近所さんなんだから！

お醤油無くなったら「貸してくれませんかぁ？」なんて訪ねてきてくれるよーなご近所付き合い、しませんかっ！？

俺が前を歩いてマンションの階段を昇る。

ワンテンポ遅れて、Aちゃんの足音が聴こえる。

「ちょっと待ってね」

部屋のドアの前でポケットから鍵を出して、ドキドキしながら扉を開けた。

「どうぞ」

ドアを押さえて、Aちゃんを中に誘う。

「お邪魔します」

ペコッと頭を下げてから、俺の部屋の中にAちゃんが入った。

俺も入って、パタンと扉を閉めてカチャンと鍵をかけた。

何か、鍵をかけた事が妙に悪い事してる気になっちゃうのは

俺の過去に問題があるんだろうな...

この部屋に女の子を入れて、鍵をかける時に考えてた事はいつだってそーゆー事だったもん。

なのに、今はドキドキしてるけどそんな事は全然考えられない。

脱いだ靴を、しゃがんでちゃんと揃えてるAちゃんの姿にキュンってしちゃうし

ずっと玄関に立ったまんまの彼女が落ち着かない様子でキョロキョロしてんのも

すっごい可愛くって、うぅーっ！ってたまんなくなる。

「奥、行ってて良いよ」

靴を脱ぎながら俺が言うと

「ううん、勝手には入れないよ」

なんて手を胸の前でブンブン振って、ちょっと俯いちゃったAちゃん。

...頼むよ、俺の理性。

ちょー頑張れよ！？