PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ47)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:899,812 hit

２ページ47

バレンタイン、ちょっとだけ勇気を出してみた。

「いっぱい作ったから...って言えば、怪しくないよね...？」

丁寧に作ったブラウニー。

ラッピングまでちゃんとしちゃって...ついで感、全然無いって！

スタッフにあげたのは、たくさん数が入ってる市販の箱詰めチョコなのに...

どんな嘘なの、私。

だけど、手作りチョコなんて絶対に重いよね。
気持ち悪いよね。

でも、あげたいなんて...

「やだな...」

自分の恋する気持ちが、嫌になる。

好きだなんて、言えない。

好きになんて、なって貰えない。

裏切られるのも辛いけど、全くこっちを見て貰えないのも...辛い。

なのにどうして、バレンタインにくれたチョコを「お土産じゃないよ」なんて思わせぶりな事言うの？

私は単純だから、嬉しくなってしまうのに。

貴方にとっては何でも無い言葉かもしれないそんなコトにだって、胸は痛い位苦しくなるのに。

どんどん、貴方を好きになってしまうのに。

真冬にお風呂が壊れた時は、正直「最悪！」って思った。

だけど、その話をしたら貴方は「俺んちに入りに来る？」なんて何の曇りも無い目で言った。

正直、やっぱり期待しちゃって仕事にならない位ずっとドキドキしてて

家に帰って、一番可愛い下着を探してる自分に恥ずかしくなって...でも、彼は女の子とそーゆー事になるのもきっと日常茶飯事なヒトだから...もしかしたら...なんて

その他大勢は嫌だって思ってるのに、きっと貴方に求められたら私は断れない。

恋する気持ちは...厄介なモノだな...。

そんなコトしちゃったら、絶対に傷付くのに。勝手に傷付いて、勝手に後悔するのに。

だけど、そんなモヤモヤは取り越し苦労だった。

腕を怪我してる貴方の髪を洗ってあげるなんて、かなり勇気出してみて

ドキドキする胸の音が聴こえちゃうんじゃないかな？ってヒヤヒヤしながら、でも彼の髪を泡でふわふわ包んでるのが嬉しくて

細いけど大きな背中に、このまま抱き着けたらどんなに幸せだろう...って。

髪を洗い終えた時に、驚く程近付いた貴方の顔

長い睫毛にふっくらした唇、ほっぺのホクロ

全部がすっごく近くにあって、もう触れそうな程近くにあって

キス...される...？なんて恥ずかしいけど、淡くそんな事を思ってたら

「...あっ...ありがとっ！乾かすのは自分で出来るから！」

貴方はスっと私から離れた。

洗面所を出て、私が少し泣いた事はきっと

貴方にはバレてないよね。