PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ46)

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＊ENCHANTED＊ページ46

ねぇ、神様。

確かに言ったよ？私。

「今度こそ、素敵な男の子と出逢えますように...」って、言った。お願いした。

ある日、コンビニにフラっとやって来たオシャレで背の高い男の子。

あ...格好良い...

そう思ってちょっとだけ「これって出逢い！？」なんて思って見上げた彼の首筋には

無数のキスマーク...

...ってか平日のこんな朝っぱらからキスマーク...

眠たそうにトロンとした目で煙草を買って行くそのヒトを、私は悪い意味で覚えてしまった。

その後も、綺麗な女の子を連れて所謂避妊具を買ってったり

その子とはまた別の可愛らしい女の子と道の真ん中でキスしてたり

一体、このヒトの貞操観念はどうなってんの？って思ってた。

ダメダメ、こーゆーヒトに近付いたら痛い目見るの。

もう、女にだらしない男には関わりたくない。

いくら、優しくても

いくら、可愛く笑ってくれても

いくら、真っ直ぐに見つめられても

いくら、あったかいヒトなんだな...って思っても

絶対に好きになったら、ダメなヒト。

ねぇ、神様。

私はどうしたら良いの？

もう、神様に直接訊いたら良いの？

だったら、ほら

調度、あのヒトから初詣に誘われたの。

一緒に神様の所に行くから。

なのに

神様の所に行く前に、こんなのって反則じゃない？

「...着物...って...」

人混みの中に見付けた、彼は普段の流行最先端！みたいな服装じゃなくて、和服を身に纏っていて

ピンと伸びた背筋と、凛とした横顔が

...嫌になる程、綺麗だった。

「どうしよう...」

ドキドキする胸を、どうしたら良いか分からない。

ダメダメ、好きになったらダメ。

こんなに格好良い人を好きになったって、こっち見て貰えないんだから。

私だけを好きになんて...なって貰えないんだから。

声をかけられず、彼の真後ろに立ち尽くしてるとその高い身長がクルリと振り返った。

「おっ...ぅ」
「お待たせしました」
「Aちゃん...」

掠れたようなちょっと特徴のある声が、私の名前を呼ぶ度に本当はずっとずっとドキドキしてたでしょ？

「雅紀くん、全然見付けられなかった」

そんな小さな嘘をついて、私は気持ちを隠す。

好きじゃない。

好きじゃないもん。

なのにどうして、貴方はそんなに優しいの？

「はぐれちゃう...から」

そう言われた瞬間、キュっと掴まれた手首に

もう私をどんどん嘘がつけなくなる。

好きなんかじゃ、ないもん。

...なんて嘘。