PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ43)

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78.ポロポロポロリ。ページ43

「私、その他大勢は嫌だよ...？」
「Aちゃんだけ俺の隣に居てくれたら良い...ってか、居て！」
「信じて...良いんだよね...？」
「うん、信じて...欲しいんだ」

香取さんから聞いた話を、Aちゃんの口から聞く前に言うつもりは無い。

だけど、彼女の言葉は過去の辛い恋の記憶から出て来るモンなんだと思うと、俺まで辛くなる。

その過去から、俺が救ってあげようなんておこがましいかもしんない。

でも、だから...

「一緒にいっぱい笑お！」

いつか、君の心が綺麗に晴れるように、俺が一番近くで守ってあげるから。

「だから...俺の彼女になってくれますか？」

キュッて眉を顰めたAちゃんの潤んだ目から、ポロッて涙が零れてそれを彼女は慌てて掌で拭いて

それでもやっぱ涙はポロポロ零れて、Aちゃんは俯いた。

「雅紀くんを好きになっても...私なんか見て貰えないんだって思ってた...」
「...Aちゃん...？」
「だって、いつだって私に興味無さそうだったから...雅紀くんちで二人っきりになっても...全然...」
「えっ！？いやっ...それは...」

理性と本能が死闘を繰り広げてたからであって

本当はもー、押し倒したかったんであって

だけど

「...すっごい好きだから、何も出来なかった...」

でもやっぱこれが、本音だよ...

好きだから、怖かった。

嫌われたくなかったんだ。

「本気で好きになったら、こんな臆病になるんだ...って思った。触れる事も、出来なくて」
「雅紀くん...」
「だけど、もう良いんだよね？」

涙で濡れたほっぺたに、そっと触れる。

「今日から俺の彼女、だよね？」
「...私で...良いの？」
「Aちゃん以外はいらない」

頬の涙を指でキュッと拭いてあげる。

「俺の隣に居てね」
「...喜んで」

スンッて鼻を啜って、ほっぺも鼻の頭も目も真っ赤になってるAちゃんが笑った。

可愛くて、可愛くて、愛しくて

キュンキュンする胸が、甘ったるい。

「...雅紀くん、ひとつだけ約束して貰っても良い？」
「約束？うん、なに？」
「そんな目で、他の女の子を見ないでね？」
「そんな目...？」

俺の目をじっと見詰めながら「こんなに優しい目で見られたら、女の子はドキドキしちゃうから...」って心配そうに、呟く。

「言ったでしょ？俺、もうAちゃんしか見えない、って」

心配しないでよ。

Aちゃんの頬に手を添えて、口元にそっと唇を寄せた。