PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ41)

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76.四月一日。ページ41

テレビから、ニュースを読むアナウンサーの声が聞こえる。

『消費者の買い渋り』がどーのこーの...

正直、今の俺にとっての大ニュースはそんな事じゃなくって『俺、告白しちゃったよ！』な訳で

「...雅紀くん...？」

戸惑いの色を浮かべたAちゃんの、俺を見上げる目。

「...好きなんだ、俺...Aちゃんのコト」

信じて貰えないかもしんないけど、好きなんだから仕方無い。

掴んだ細い手首を、離す事が出来ない。

「雅紀くん...それは...冗談...？」
「...え...？」

眉をキュッと潜めて、それでも俺から目を離さずにAちゃんは小さな声で訊く。

「...やっぱ、信じて貰えない...？」
「だって...」

Aちゃんが、チラッとテレビに目をやる。

俺も、そっちを見るとまだニュースでは『消費税8%の影響』がどーのこーの...

「今日、私の一番嫌いな日...」
「...あっ！」

今日...って

「四月一日だ...」
「うん、四月一日だから...」
「エイプリルフール」
「うん...だから、冗談...かな？って」

Aちゃんは気まずそうに俯いた。

「違うよっ！ホント！嘘じゃないよ、ホントに！」
「...ホントに...」
「うん、ホントに...えっと...あの...」

俺は片手で掴んでたAちゃんの手首を、ギュウって両手で掴み直した。

「Aちゃんが好きです」

本当は、抱き締めちゃいたい位なんだけど

今そんな事しちゃったら、根性決めた告白が薄っぺらくなっちゃいそうで

「...雅紀くん...私...」
「うん...？」

Aちゃんの口から、どんな言葉が出て来るのか分からなくて胸が苦しい。

「雅紀くんだけは、好きになっちゃいけないタイプの男の子だと思ってたの...」
「...あ...うん...」

そりゃ...そーだよね...

出会い方からして、あれは最悪の第一印象だったと思うもん。

「だけど...ズルいよ。...雅紀くん、優しいし...」
「え...？」
「...初詣、一緒に行っちゃったからかなぁ...」

独り言のように、君が呟く。

「...私も...」
「......んっ！？なにっ！？」
「えっ？」
「えっ！？えっ！？」

思わず顔を見合わせる。

真っ赤なAちゃんが、フッて笑った。

「...雅紀くんが、好き」

...嘘...

「え...？エイプリルフール...」
「フフッ、ううん。嘘じゃない...んだけど...」
「ホントに俺を...？」
「うん」
「好き？なの？」

コクン、Aちゃんが頷いた。