PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ4)

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39.お風呂事情。ページ4

「じゃあ、Aちゃんはお仕事頑張ってね」
「うん、ありがと！あと三時間ー！」

腕時計を見ると、21時。

「12時までかぁ。大変だね、ホント」
「そうなん...あぁっ！！」

突然大声を出したAちゃんは、慌てて自分の口をパンって片手で押さえた。

「えっ！？どしたの...？」
「え...あのね、雅紀くんに訊きたい事があるんだけど...」
「訊きたい、事...？」

えっとー...

喜んで答えられる事と、絶対に答えたくない事がありますけど...何でしょうか...

「この辺りに12時過ぎても開いてる銭湯ってあるかなぁ？」
「せん...と？」

ビクビクしながらAちゃんの言葉を待ってた俺に、想像もしてなかった質問。

「うちのお風呂、お湯が出なくなっちゃって...だから修理頼んだんだけど明日にしか来れないらしいから銭湯に行くつもりなんだけどね」
「お風呂、壊れちゃったんだ」
「うん、最悪でしょ？お風呂無しは辛いよねぇ...」

フゥ...って大きく息を吐いたAちゃんが「私、こっちに引っ越して来たの最近だからどこに銭湯があるかとか分かんなくって...」って言ったのを聞いて、あぁそうだな...って思う。

俺がこのコンビニでAちゃんを見掛けるようになったのは、そんな遠い話じゃない。

コンビニはずっとあったけど、Aちゃんは居なかった。

「Aちゃんは店長に任命されて、ここに来たの？」
「えっ？...うん、そうなの」
「そうだったんだー。銭湯ねぇ...あったかなぁ...」

自分の頭の中にある地図を一生懸命に広げてみても、お風呂屋さんと言えばニノんちの近くにあるスーパー銭湯しか浮かばなくって

この町にあった小さい銭湯は何年か前に番台のおじいちゃんがもう引退するからって閉められて、確かカフェになってる。

「お風呂屋さん、ここら辺には無いなぁ...」
「そっかぁ...」
「俺んちに入りに来る？」
「...えぇっ！？」
「...あぁっ！！」

しまったーーーー！！！
完全に翔ちゃんやニノに言ってる調子で言っちゃったよ！！！

「やっ...いや、あのっ...！そーゆー意味じゃなくって...あ、そーゆーってあの...違って...！」

Aちゃん、困ってるから思わず言っちゃったけど「俺んちに風呂入りに来ないか？」って、絶対おかしいでしょ！
俺の馬鹿っ！！

「あのっ！Aちゃんがお風呂入ってる間は...俺、家の外出てるし...えっと...俺んちの風呂で良かったら...」

さっき友達感出しまくったのに、今は手遅れ感ハンパ無い。