PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ16)

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51.冴える。ページ16

何がしたいのか分かんない俺は、髪を乾かし終えたAちゃんを家まで送って行った。

もちろん、送り狼なんてしないしただただ『送った』だけ

手だって繋いだりしないし、バイバイのチューなんて絶対無理。

ただ『送った』だけ。

トボトボと帰った、一人っきりの部屋

だけど、腕にはAちゃんが巻いてくれた包帯があって

さっきまでうちにAちゃんが居たんだなぁ...って思ったら、何か寝れそうにも無くって

ソファに横たわって、プレイヤーに入れっぱなしにしてたDVDをつけてみた。

「何が入ってんだろ...」

ボーっと画面を見てた俺の目に飛び込んで来たのは、乱れに乱れて絡み合う全裸の男女

耳に流れ込んで来たのは、お姉さんの甲高い声とお兄さんの言葉攻め。

「うわわわわ！！！」

あっ...あっぶなかったぁ...

これ、Aちゃんが居る時に間違って再生押しちゃってたらどうなってた！？

「...目...余計に冴えちゃった...」

全部お嫁に出したつもりだったのに、こんな所に行き遅れた子が居たのか。

あ、って事はニノん所にパッケージだけで中身が入ってないのがあるんだ...ってもー、別にどーでも良いや

すっかり眠気が飛んじゃってゲームを始めた俺が「明日、会議じゃん！！早出じゃん！！」って思い出したのは、もう起きる時間の３時間前。

翌朝...ってゆーか、三時間後

意外と良い感じの睡眠サイクルで寝れたのか、もしかしたら単なる興奮状態でアドレナリンが出てるのかは分かんないけどスッキリ起きれた俺はAちゃんが居ないコンビニでレッドブルを買って

飲みながら改札を通って、ホームへの階段を下りながら飲み干してそこにあるごみ箱に放り込んだら、アクビを押し殺してる翔ちゃんが見えた。

俺はそーっとその後ろ姿に近寄って、翔ちゃんの耳元に唇を寄せる。

「お・は・よ、翔ちゃん。ふぅっ」
「ひっ...！」
「感じちゃった？」
「みみみみみ耳に息っ...！息、吹きかけんなっ！」

顔を真っ赤にして耳を押さえてる可愛い翔ちゃんと、今日も一緒に通勤だ。

俺が海外出張してて会ってなかった間に、翔ちゃんと彼女には何だかんだあったらしくそんな話をからかいながら聞いて

こないだ切った前髪がちょっと目に掛かったから、それを手で払ったら翔ちゃんが「どうした？それ」って俺の右手を指差した。

「...翔ちゃん、俺ね...」

恋に臆病になる事に関しては先輩の翔ちゃんに、俺のモヤモヤ聞いて貰お。