PRESTO！2nd【ars M.A】 (ページ12)

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47.自分との激闘。ページ12

Aちゃんは、フリーズしたまんまの俺を見て「あのねっ！ちょっと自信あるの！」って、慌てたように言う。

「自信...？」
「うん。私、髪洗うの多分上手いと思う」
「そうなの？」
「うん！実家で犬を飼ってて、いつもシャンプーしてあげてたから！」

犬？

あぁ、大型犬なのかな？

「ゴールデンとか？あ、もしかしてもっとでっかい子？ピレニーズとかバーニーズとか！」
「ううん、チワワ」
「チッ...」

ちっちゃい子ー！

俺とサイズ、全然違うー！

「うちの子、すっごい暴れるから大変だったの。それでも綺麗にシャンプーしてあげられてたから上手いんだって思い込んでるんだけど...」
「俺、あんな小さくて可愛くないけどね」
「けど雅紀くんは暴れないでしょ？」
「...俺は暴れないよ？」

俺は暴れないけど、雅紀のマサキは暴れん坊になるかもしんない！

頑張れ！

頑張れ、俺の理性！！

「もちろん、雅紀くんが迷惑じゃなければなんだけど...」
「迷惑じゃないよっ！あっ...うん、助かる...」

俺が洗面所に入ると後ろからAちゃんもついて来て、こんな狭い洗面所に二人っきりってだけでもちょっと俺、マズイ感じ。

「あっ、シャンプー...ちょっと待ってね！」

風呂場の扉を開けて中からシャンプーとリンスを持って出て洗面台に並べて振り返ったら

Aちゃんが袖を捲ってる。

「えっとー...俺、どうしたら良い？」
「いつも自分で洗う時って、下向く？」
「うん。こーやってー...」

俺は、自分でやる時のように屈んで洗面台に頭を下げた。

「あ！じゃあ、そのまんまで！」
「え？あ、うん...」

言われるがままで居ると、Aちゃんが俺の肩に手を添えてシャワーヘッドを伸ばす。

添えられた肩の手にドキドキしてると「流すねー」って声がしてあったかいお湯が頭に注がれた。

肩にあった手が、頭に移動してわしゃわしゃって撫でられてくすぐったいと言うか、何と言うか...

シャンプーされる時なんて、たまに耳に指が当たっちゃうし「痒いとこありませんかぁ？」なんて笑いながら言うのも可愛いし...

やばい、この色んな刺激に集中しちゃうと本当に暴れん坊になりそう！

そうだ！違う事を考えよう。

円周率！うん、円周率だ！

3.14159......あ、もう分からない...

ソワソワする気持ちと身体を、俺は必死でどーにかしようと奮闘してた。