電車にて ページ2
全身鏡の前にたち、白いシャツに包まれる自分を見つめる。
胸元には"帝"とかかれたワッペンのようなものが。
赤く色づいたネクタイをしめて、私は鞄を持つ。
「今日からあの氷帝学園に転校か〜!またテニス部が強いらしいし、楽しみ。」
ふんふん、と鼻唄を歌いながらモデルのように鏡の前でポーズをとっていると
母「ちょっと〜!急がないと電車遅れるんじゃないの〜?」
一階にいる母親からそういわれ、時計を見れば既に家をでなければいけない時間を指していた。
「やばっ!!いってきまーす!!」
駆け足で階段を降り、期待と不安を胸に私は玄関の扉を開けた。
私が住んでいるのは氷帝学園のある東京ではなく、神奈川県。
もともと立海に通っていたが、ある理由で転校することになったのだ。
少し遠いけど、電車に乗れば難なく通える距離。
私は改札を通って電車に乗り込んだ。
ー電車ー
私が鞄を膝の上に乗せて、空いている席に座っていると数駅したところで
男「ねぇ、君のその制服、氷帝だよね?」
シルバーの指輪を光らせながら、なにやらチャラチャラした男二人組に絡まれた。
「えっと...そうですけど...。」
男「だよな!なぁ、俺ら暇だし、サボってちょっとお茶してくんない?」
なにいってるんだ。朝からお茶とか...。誘うにしても昼にしてほしい。
それに転校初日にサボりなんて、肝が座りすぎてる。
「ごめんなさい、さすがにそれは...」
私が小さい声でごめんなさい、といっていると、向かいの席に座っていた青い帽子の人と背の高い銀髪の人が男の人に声をかけようとしていた。
?「朝からナンパとか、激ダサだぜ。」
?「宍戸さん!助けた方が...?」
なにやらこそこそと話していると、席をたって二人ともこちらへやって来た。
?「あんま大事にすんなよ。」
?「はい!...ちょっと、そこの男性方、いいですか?」
銀髪の人が男に声をかける。優しい声だったけど、目は少し怒っているようだった。
男「あ?男は呼んでねぇよっ!」
?「その子、困ってますから。離れてください。」
男と私の間に入ってきて、庇うような形でいる。
男「へっ!氷帝のお坊っちゃんが!どかしてみろよ!」
煽るようなその声で、初めて今目の前にいる人が同じ制服を着ていることに気づく。
?「長太郎、やってもいいぜ。」
青帽子の人がそう言うと、目の前の銀髪の人はラケットバッグからボールとラケットをとりだし、なにやら構え始めていた。
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作者名:麗花 | 作成日時:2024年3月26日 23時