検索窓
今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:422,098 hit

拒絶 ページ42




ギルガメッシュは離された手を凝視したまま自分の行動が信じられないといった風に目を見開いている。


何をそんなに驚いているのだろうか。

また私が何かへまをしたのだろうか。


一体どうしたのか


その言葉を私は形にすることができなかった。



ギルガメッシュは



この男は泣いていた。



勿論声など上げない。

ただ涙だけが意思に反して勝手に流れている様だった。



これに絶句しない人間がいるだろうか。


傲慢である事を赦された王が

人を裁定する為に存在した王が


私の目の前で

ただの人間の様に泣いていた。



私が茫然としていると、同じく茫然と自らの手に落ちる涙を眺めていたギルガメッシュは漸く我を取り戻した。



「…………何だ、これは。」



ギルガメッシュが私の間抜けな顔を見る。



「……何なのだ、貴様は。」



あまりにも衝撃が強かったのだろう。ほとんどがうわ言に近く、些か焦点も合っていない。

このままではきっと良くないと思い、慌てて肩を揺する。



『ギルガメッシュ!!しっかりして、ギルガメッシュ…!』

「――っ!触るな!!」



バッと手を払いのけられる。

混乱しているのだから無理もないが、ほんの少し胸が痛い。



『…ギル、ガメッシュ……』

「…今日の我はどうかしているようだ。寝る。部屋から出ろ。」


口早にそう告げられて私は大人しく従うしかなかった。

普段の彼に言われていたら、いろだとか出ていけだとか勝手な奴だと憤慨していたかもしれない。

しかし今のギルガメッシュは普通ではない。そしてその原因は間違いなく私のせいだった。


『…わかった。』


払われた手を擦りながら部屋を後にする。





変な気分だった。



胸に残る、この重みは?



いや、今の私にならこの感情は理解できる。

あの男と出会って数日しか経っていないが、その短くも濃密な経験は私に感情を教えてくれた。

理不尽な事を言われて感じた怒り、想定外の事をされた時の焦り、大きな過ちを犯した時の罪悪感。

ほとんど負の感情ではあるが、それでも。


私は今彼に拒絶されて悲しんでいるのだ。


致し方のない事だとわかっていても、その拒絶は大きなものだった。


もしこのままずっと近寄る事すら許されなくなったら?

会う事も無くなったら?


そんなの、嫌だ。


時臣からの言いつけをどうでもいいと思ったのは、今回が初めてだった。



『…寝よう。』


切ない想いを胸にしまい、私は自室へと足を向けた。

私ではない誰か→←貴方の言葉で



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (464 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
804人がお気に入り
設定タグ:Fate/Zero , ギルガメッシュ , 英雄王   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。