非現実的な才能 ページ29
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部屋に入った後、椅子に腰かけたギルガメッシュの様子を観察する。
表情に疲労が見える事も、動きが不自然になる事も無い。
本当に何とも無いようだ。
「……真彩、昨日のアレは何だ。」
『!!』
今までで一番静かで感情の無い声に、頬が引き攣る。
『……アレは"起源"と言うものらしい。』
「…ほう?」
ギルガメッシュがその言葉に眉をピクリと動かすが、果たして理解しているのか。
『……私は4年前にこの力に目覚めた。きっかけは本当に些細な事だったけれど…
そのせいで、私の家族は崩壊した。』
「…」
聞かれてもいない事を話し始めた私に何も言わずに、ギルガメッシュはただじっと私の話を聞いていた。
『……私の起源は所謂"過去"。対象の過去を視る力。』
「…つまり、貴様は我の過去を視た、ということか?」
『…ええ、そういう事。』
話しながら段々俯きがちになっていく。ギルガメッシュの視線が痛い。
「一つ聞かせろ。」
その言葉に拒否権は無い。無言で頷く。
「貴様は魔術師として上位に位置する力を持っている。そうであろう?」
『…は?』
ギルガメッシュの質問は、起源に関するものではなかった。
私の才能?そんなものに興味があったのかと驚いた。
『……わからない。私は元々普通の人間だった…、けど…例の件があってから時臣様の元で修業を受けることになって……でも、私は他の魔術師の力を見たことが無い、から…』
ポロポロと零れる言葉に、私自身疑問を覚えた。
そういえば、私は魔術師として成り立てているのだろうか、と。
『…いや、私が魔術を学ぶのは時臣様を支えるために…聖杯を勝ち取るために…』
今までに時臣師から学んだことといえば、部屋にある道具の使い方くらいではないか?
師から直接魔術に関する事を習ったことなどあっただろうか?
気がついたら、何となく全て出来ていた。
『……』
「何だ、自覚していなかったのか。」
『…普通、じゃないの?』
「馬鹿者、何も学ばずに全て出来る事のどこが普通なのだ。」
確かに。当たり前の事を呆れ顔で言われて顔が紅潮する。
『…でも、突然どうして?』
「貴様の口ぶりではお前は最近までただの学生であったのだろう?それが何故生粋の魔術師家系である時臣の元で魔術を習う?」
その言葉に、私の目から生気が消える。
思い出したくもない。
だが記憶にこびりついた
悪夢が脳裏を過った。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時