貴方にとっての存在 ページ14
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突然目の前で泣かれたギルガメッシュは、流石に驚いているようだった。
「………何故泣く。」
言われて初めて私が涙を流している事を自覚した。
直ぐに頬の水を拭う。
『………何故………か。』
問いの答えがわからない。
『……わからない……』
わからない、それが私の答えだった。
「……それを回答とするか。」
ギルガメッシュの額に皺が寄る。
当たり前だ、答えとは言えない返答をされたのだから。
この男にとって、明確でない返しなど死に値する。
そんな男に問う。
『……貴方は、私を何だと思う?』
私の存在を。
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「……なんとつまらん問いだ……自らの存在だと?笑わせるな。」
『……つまらない……』
目前の男は、笑みすら浮かべず冷たい眼差しで見つめてくる。
「貴様の存在など、そこらの雑種と変わらん。」
『……そう、か……』
やはり、この男もそうかと思う。
いや第一聞いた相手が相手なのだが。
「……だが、お前の力にはただの魔術師とは異なるモノを感じる。実に面白い。」
『…!』
その一言を聞いた瞬間だった。
何故か
ほっとしてしまった。
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『……そういえば、貴方からちゃんとした答えを貰っていない。』
「……何の事だ。」
こてりと軽く首をかしげる大の大人に、何とも言えない気分になる。
『……貴方が、何故ここに来たのか。』
「……その答えなら既に述べたはずだが。」
『……明確な答えではない、何を考えている?』
「勘ぐるな。」
そう言うギルガメッシュの目は明らかに嫌悪の意を表していた。
しかし同時にその中に底知れぬ好奇心の火が見える。
初めて会った時からそうだ。
この男は全てのものを"つまらない"と一蹴するにもかかわらず、
真反対の感情を瞳に映す。
本当に、どこまでも不思議な男。
「帰還時に、貴様のふらついた後ろ姿を見つけただけだ。それ以上もそれ以下もない。」
『やっぱり答えになっていない。』
少々むすっとした私の事をギルガメッシュは少し目を見開いて見つめてきた。
何だと見つめ返すと、突然頬をつままれる。
流石に驚き、飛びのく。
『……やはり、何か企んでいるな……』
「ハア……もう良い……これ以上このような薄汚い場所に留まるつもりはないぞ、雑種。」
暗に移動を促す金色の男が、相変わらずすぎて思わず小さな溜息が出る。
『……変な奴……』
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時