微睡みの中で ページ47
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ギルガメッシュ。
あの人にもう一度だけでいい。
せめて
もう大丈夫なのか
くらいは。
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だが片隅に映っている幻影は私を冷めた目で見つめながら立ち尽くしている。
その目を見たとき、体は自然と動いていた。
当然怪我は治ってもおらず、血はとめどなく流れ続けている。
しかしそれでも、足は再び地面を踏みしめていたのだ。
飛び掛かってくる海魔を咄嗟に身体強化して回避すると、そのまま建物の屋根を飛び渡る。
服が赤く染まっていくのも無視してただひたすらに遠坂邸を目指した。
どうやらキャスターのマスター、サーヴァントともに諦めたようで、魔力はそれ以上追ってこなかった。
パーティーをすると言っていたので、そちらの準備に向かったのかもしれない。
危機は去ったが、順調に自身の血の気は減っていく。
『……は、はあっ……』
寒気との戦い末漸く目的の建物に辿り着いたものの、そこで限界だった。
扉の前で崩れ落ちた体を、誰かが支える。
白くなった視界に中に金の髪を持つ男が見えた。
『ギ、ルガメッシュ…?』
「何をしている、この愚か者めが。」
軽々と抱き上げられ、どこかの部屋の暖かい布団に包まれる。
遠くで時臣の声が聞こえる。
そういえば、警告を破ってしまっていたのに何も言っていない。
嗚呼、眠い。
あたたかい。
重くなっていく瞼を閉じて意識を飛ばした。
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頭に感じるのは誰かの手に撫でられる感覚。
―― サーヴァントに襲われて生きているとは、つくづく悪運の強い女よ。
余計なお世話だ。
―― このように黙っていれば、不敬さも静まって愛でようもあるというものを……
うるさい。その言葉をそっくりそのままお返ししよう。
―― 全く……馬鹿馬鹿しい。
その声はほんの少しの寂しさと自嘲を含んでいた。
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ハッと体を起こすと体に激痛が走り思わず呻き声が漏れた。
穴を開けられた部位に手を添えると、どうやら傷そのものはほとんど癒えているようだった。
恐らく、いや確実に時臣の手腕だ。
迷惑をかけっぱなしである事に申し訳なさを感じつつも、それ以上に驚くべきものがあった。
私のベットに残る、時臣と自分のもの以外の魔力。
だが、その魔力はある意味慣れ親しんだものだった。
『ギルガメッシュ?』
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時