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少しだけ傍に ページ40





屋敷に着き、私はギルガメッシュと別れ自らの部屋へと戻る―――


はずだった。



「……おい。」


屋根裏部屋へ行こうとした私を引き留めたのは、他でもないギルガメッシュだった。


『…え?』


驚きのあまり気の抜けた声が出てしまう。

それは、声を掛けた本人も同様だった。

自分の行動が信じられないといった様な表情で頭を押さえている。


『…何か、用?』


本音を言うと、すぐにでも部屋に戻りたかった。

こんな所にいればいつ時臣に見つかるかもわからない。

気付かれるより前に早くこの場を去りたかった。


「――っ」


だがその瞬間、ギルガメッシュの身体が大きく傾いた。

咄嗟に支えるが、息は上がり明らかに様子がおかしい。


『ギ、ギルガメッシュ…!?』

「…っぁ…」


嗚呼

この男はやはり嘘を吐いていたのだ。


何が"戯けた事"だ

それはこちらの台詞だ

これはどこからどう見ても私の力のせいだ


強がって

嘘を吐いていたなど




『…くっ…』



私は急いでギルガメッシュを抱えて部屋に入りベットに横たえた。


ふぅふぅと荒くなった息も、少しだけ収まる。

額に触れると信じられない程の高熱だった。


しかし、何故突然このような事に?

先程までは何ともなかったのに。


そして私は最悪の状態に自分がいる事に気がついた。


ギルガメッシュの異常は時臣にも伝わるだろう。

そうなればすぐ駆けつけてくるはずだ。

そのまま私は彼に見つかり、最悪の場合破門される。


そこまで思考が至った瞬間、私は自分でも驚くほどの速さで軽い幻惑の魔術を部屋に施した。

微弱ではあるが、これで時臣からは「疲労感が強い」くらいにしか捉えられない筈だ。


改めてギルガメッシュの傍に座る。

ほんのり紅潮した肌を汗が伝っている。

投げ飛ばした時とはまた違った、切なくて苦しい、そういった表情に私はますます困惑した。



『……私のせい?』


サーヴァントが熱を出すなど、聞いたことも無い。

魔力切れをするはずも無いのに。

であるならば、私の力の後遺症に違いないのだ。


だがギルガメッシュは拗ねた様に顔を背け何も答えない。




沈黙に耐えかね、私は部屋を出ようとした






のに



『!』



右手を掴まれた。



「……………………行くな……


 暫くここにいろ。」



消え入りそうな声でギルガメッシュが私に言う。


思わず目を見開く。


唖然としたままの私に、彼は再び言う。






「…我の………傍に…」

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設定タグ:Fate/Zero , ギルガメッシュ , 英雄王   
作品ジャンル:恋愛
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時

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