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王の軍勢 ページ37

声が出なかった。

幻想ではない、現実に私は別世界に存在している。


ライダーはこれを自らとその臣下達が駆け抜けた大地だと言う。


ふと、遠くから何かが聞こえた。


そちらの方向に振り返る。



『……あれは……』



それは鎧を身にまとった屈強な戦士達。

しかもただの戦士ではない。



「こいつら…一騎一騎がサーヴァントだ…!」



ざっと視界に入るだけでも数千人はいるであろう戦士が、こちらへ近づいてくる。



私達から少し離れた所に立っているアサシン達は、動揺してざわついている。

それはそうだ。

数を頼みにしていたにも関わらず、その数で完全に敗北したのだ。



征服王は吠える。


「王とは!誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉!」


臣下は王の言葉を肯定する。


「全ての勇者の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが王!


 故に!王とは孤高に非ず!その偉志は全ての臣民の志の総算たるが故に!!」


然り、と王に仕えた勇者たちは叫ぶ。



まさに、完成された一つの王道。


先程のライダーの言葉に不満を覚えたとはいえ、それも一つの真実だったと認めざるを得なかった。


ここにあるのは時代を駆け抜けた本物の魂達だけだ。


前に立つのは


民を従え、そして慕われた


暴君であり名君だ。



瞬きをする事すら忘れ、私は目の前の光景に釘付けになる。

奇跡だのなんだのと、聖杯などを奪い合うまでもない。

今ここに在るのは、紛れもなく"奇跡"だった。



「さて、では始めるかアサシンよ。見ての通り我らが具象化した戦場は平野。生憎だが数で勝るこちらに地の利はあるぞ。」



そう、気配を消す事だけが取り柄のアサシンから隠れ場を奪えば

その先の未来は決まったも同然だった。



「蹂躙せよ!!!」



征服王の一声で無数の軍勢は一斉に駆け始めた。

至近距離を馬が走り抜ける。


その勢いに圧倒され、またしてもギルガメッシュにしがみつく事になる。

腕を首に回して、自分から抱き着いている様な格好に成りつつも、

そんな事気にする余裕もなく、私は戦いを見守った。


女のアサシンは最早戦う気力すらなく為されるがままに首を切り落とされた。

他の骸も、抵抗はするものの数に押しつぶされ消えていく。


一瞬の戦だった。

ライダーの咆哮と、王を称える叫びに

世界は包まれていた。



『…ギル…』

「!!」


ギルガメッシュも目を見開く。





初めてそう呼んだ



そう呼んだ事すら忘れる程、無自覚に。

歪んだ感情の向く先は→←心象風景



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設定タグ:Fate/Zero , ギルガメッシュ , 英雄王   
作品ジャンル:恋愛
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時

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