食の世界へのご招待 (ページ45)

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○39○　フグ鯨、捌き成功ページ45

私は自分の包丁を手に取り、フグ鯨を前に置く。

コ「まずはエラから下あごを切断する」
「下あごから・・・」
コ「このフグ鯨は小松君が捌いていたのと逆パターンだ」
「・・・エラから下あごへ」

私は一息つき実に包丁を入れて下あごを何とか切断する。
・・・・・ヤバい、マジで息をするのを忘れる。

コ「次に下腹を10センチいれる」
「下腹に10センチ・・・・」

自分に言い聞かせて包丁を入れる。
・・・・が。

「あ！」
コ「おしい！一ミリずれた」

それから、小松が4回、私が3回失敗した。
でも後の2匹は毒袋が開く事に成功した、最後は同じ手順などで同時にす事になった。

コ「見えた、毒袋だ」
ト「おぉ！」
小「これが……」
「…毒袋」

フグの中に紫色の袋が付いている。
これを今から二人同時に取り出す。

コ「ここからは素手だよ、二人共。毒袋が破れないように周りの粘膜を少しずつ取り除く」

小「は、はい！」
「破れないように、慎重に」

私と小松は優しく毒袋を包み込み粘膜を取り除いていく。焦る気持ちがあるが慎重にする。

コ「ゆっくりゆっくり、粘膜が取り除いたら優しく掬い上げるように」

粘膜が取れ、慎重に手にのせて掬い上げる。

小「(焦らず、慌てないで)」
「(ゆっくりと……)」

小松と私はほぼ同時に掬い上げた。
そしたら、フグ鯨が黄金に輝きだした。

「これは………」
ト「よーし！成功だ！」

ト・小・コ・貴「やった！」

小「うぇえ、良かった！！」

小松は毒袋を手に持ったまま泣き出す。
かくゆう私も呆然と立ち尽くしてしまう。

コ「良くやったね、小松君、Aちゃん！」
小「いぇ、ココさんの指示のお陰です！」
「自分でも成功するとは」

驚き過ぎて、皮肉も言えなくなったな。

ト「小松、A、初めてお前らを連れてきて良かったと思ったぜ」

小「はい！ありがとうございます」
「それ素直に喜べない、てか誉めてないだろ！」

全くデリカシーの欠片もない男だな。

「あ、だけどこんなに毒化してちゃって」
小「ぼ、僕のせいで……」
コ「大丈夫、それはIGOに研究に使ってもらうさ」

はぁ、それなら安心だな。

ト「よーしそんじゃあ食うか！」

トリコの声を合図に私と小松は成功したフグ鯨を捌き、刺し身にしてそこらにあった大きな葉っぱの上に盛り付ける。