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「すみません。前を良く見ていなくって……って、あれ？ 太宰さん？」
「やァAさん。奇遇だね、こんな所に買い物かい？」
顔をあげた先。そこにはもう馴染みと云っても良い彼、太宰さんの姿があった。私はその太宰さんに対して「そう云う太宰さんこそ、何かご用事があってここへ来たんですか？」と問う。そうすれば彼は「えぇ、昔の友人に会うために」と答えてから一つ笑みを浮かべた。
「あっ、そうだ太宰さん。私お花屋さんに行きたいんですけれど、場所って分かりますか？」
「花屋？ それならその角を右に曲がった所だけれど」
「ありがとうございます！ 少し迷って居たので」
彼が少し先の角を指差しながらそう云ってきた為に、私は一度お礼を入れつつ頭を下げる。そうして次に顔を上げた時には、太宰さんの不思議そうな顔が映ったのだ。しかし一言も言葉を発しない彼に、私は言葉を掛ける。
「どうしたんですか？」
「……否、何でもないよ。私も丁度花屋に用事があったから一緒に行こうか」
「あっ、はい！」
太宰さんが先に歩き始め、私は急いで携帯を鞄の中にしまってから彼の後を追い掛けるのだ。
花束を太宰さんと共に購入した私は、とある場所に向かって歩いていた。その道中で太宰さんと訪れていた洋菓子屋さんに寄って、洋菓子を購入する。それからは先程と同じように道を歩いて、目的地へと向かって居たのだ。信号機が青になり、混雑する通りを抜けて、市街地に入る。少し人混みが少なくなって、涼しい風が吹き抜けて来て、そうして目的の場所へと辿り着く。その間、太宰さんは私の隣でずっと歩いていた。
「太宰さん。あの、ご友人の方に会う約束があるのでは？ 私に着いてきても良かったんですか？」
「まだ約束の時間には早いから、ほら行こう」
そう云って、太宰さんは先々に教会の門をくぐり抜けていく。私もそれに続けて、門の下をくぐり抜けたのだ。太宰さんが教会の横を通り抜け、私も横を通過していく。そうすると、先日来た段々畑の様になっている墓場へと辿り着いた。
先ずはそこの階段を降り、彼の墓場前へと向かった。そこで以前に置いた造花の花を一本手に取り、その代わりに先程買ってきた花束を墓の前に手向ける。それと同時に、彼の大好きだった洋菓子も隣へ置くのだ。
「任務は無事に遂行しましたよ」
お供え物を置いてから私は手を合わせ、心の中で『この前は造花を持って来てしまってごめんなさい』と謝りを入れていれば、同じく隣で手を合わせていた太宰さんがそう言葉を放った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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夢希 道華(プロフ) - ゆかりさん» コメント下さってありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しい限りです！占いツクールではもう投稿しない予定なのですが、お暇があれば後書きからサイトを覗いて見てやって下さい。それでは失礼致しますね！ (2018年5月6日 6時) (
レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 本格的な小説みたいで良いですね！完結おめでとうございます！ (2018年5月5日 22時) (レス) id: e8168b3b40 (このIDを非表示/違反報告)
夢希 道華(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます。完結迄頑張って行く所存ですので、どうぞ最後まで宜しく御願い。 (2017年12月4日 14時) (レス) id: 9c1c1e423e (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 話の流れにわくわくさせられて、面白いです!!! (2017年12月3日 22時) (レス) id: a96084b98f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢希道華 | 作成日時：2017年12月2日 15時
